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様々な異世界をご体験下さい  作者: れんこん
8/27

8 ステータスオープン

「大丈夫でござるか!?」


山田は目をキラキラと輝かせ自分がこれからヒーローになれるということを一寸も疑っていない顔で路地裏につっこむや否や声をかけた。


「チッ。なんだよお前らかよ」


俺と佑ちゃんが全速力で山田を追いかけ、追いついた先にいたのは織本と笹山だった。


「なんだ君たちでござるか。かわいい女性が困っている所を助けて好意を抱かれる展開を想像していたのに。残念でござる」


山田は心底残念そうだった。


そこは水車がくるくると回る水場がある場所だった。水車が繋がる場所には綺麗な川が流れており、時折見える魚がくっきりと姿が見え、川の綺麗さを象徴していた。


「織本達は蔵本達を追ってたんじゃないのか? こんな所で何してるんだ?」


「それが急いで追いかけたはずが何処を探しても見つからねえ。あったら絶対仕返ししてやるのによ」


どうやら織本達は蔵本と黒音ねという女の子を見失ってしまったらしい。顔からはこちらがわかるくらいにはイライラしているように見えた。


「そんなことより聞いてよ。絶対いたんだよ。ねえ、私がこんなしょうもない嘘つくわけないでしょ?」


「でもよ......本当は足が滑って川に落ちたのが恥ずかしいだけなんじゃないのか?」


そう言って2人は言い争いを始めた。

会話の要所要所を聞く限り笹山が川に落ちたらしく、その原因について揉めているようだ。

実際笹山の着ている制服は水に濡れており、かなりの水分を吸っていることからかなり透けている。


「あの格好は反則でござる。思春期の自分達には刺激が強すぎるでござるねまあでも折角の機会であるからして、じっくり見て記憶に残さなければでござるね。イヒヒ」


「おいやめろ山田。気持ち悪いぞ」


「ちょっとこいつなんなの。本当きもいんだけど。まじ無理だわ私」


そう言って笹山は自らの体を抱きしめた。

そのことによってより刺激的なボディラインが強調され、自分達の視線は釘付けである。注意はしたがまあ自分も思春期なんだ。これは仕方がない。俺は鼻血が出そうになるのを必死に抑え会話を再開した。


「それで笹山はどうして川に落ちたっていうんだ?」


引っ張られたのよ何かに。それも結構な力でね。」


「まさか。それって迅くん......」


「ああこれは恐らくそうだろう」


俺は笹山の話からそれが鬼の仕業であることを推理する。

先程アキュロスがいた部屋の中で立てかけられていた鬼の世界を象徴する絵の中に水に潜り込み人間を襲うタイプの鬼が描かれていたことからも間違いないだろう。


「で、そいつからは逃れられたのか?


「ええ。ちょっと腕を振ったら簡単に吹き飛ばされてくれたは。もしかしたら鬼は私たちでも振り解けるぐらいの力しかないのかもね」


笹山の話を聞いた俺はとても驚いた。鬼といえば物語の中では人の何十倍も力がある存在として描かられていることが多い。それを知っていたこともあり、意外とあっさりと切り抜けられた事実に俺は驚いた。

もしかするとこれが異世界転生による効果なのかもしれない。


「そういえばアキュロスがいってたよね。何か固有スキル? そういう類のものがあるって」


笹山が口に手を当て何かを思い出すときにする仕草を忠実に再現しながらそう答えた。確かにそのようなことを言っていたような気もするし言ってなかったような気もするが。


「びびっててあんまり覚えてないが、確かステータスオープンっていやあ自分の能力が確認できるらしいぜ。」


「ビビってたのは情けないでござるね」


「うるせえよ!!!」


織本が顔を真っ赤にして山田に食ってかかった。この2人に関しては仲がいいのか悪いのか分からない時がある。ただ、こういう落ち着かない環境に置かれたせいで普段ずれていた波長が合うと言ったことはあるのかもしれない。俺はそう考えると胸の内にあったモヤモヤがスッキリし目の前の問題に集中することができた。


「じゃあ、せっかくだしみんなでやってみない? ステータスオープン。なんか僕も気になってきちゃった」


佑ちゃんが柄にもなくそわしわしている。恐怖いっぺんとうだった佑ちゃんに少しだけワクワクという感情が見えた気がして俺は少し安心した。これから俺たちは一緒に頑張らなければいけない仲間だからな。


「そうだな。じゃあみんなでやろう。せーの! ステータスオープン!」


ここにいる全員でそう唱えると目の前の空間にウィンドウのような物が表示された。そこには名前・年齢・自分の写真という定番の個人情報の他に目的、能力、価値、位という言葉が大きく分けて表示されており現実では中々見たことがない情報まで記載されていた。


「おおおお! これはワクワクするでござる! また一段と異世界転生感が増してテンションがぶち上げでござるよ」


山田は興奮から鼻息が荒い。だが、それに関して責めることは正直できない。なぜなら俺も夢にまで見た漫画やアニメの中でしか見たことがないものが今自分の前で展開され、興奮してしまっているのだから。


「じゃあまずは固有スキルというものを見てみるか。ええと......」


そう言いながら空間の中に表示されている『能力』と書かれている場所をタッチし、その中でも固有スキルという部分をタッチした。


固有スキル― 妄想者

詳細:自分の頭の中に浮かび上がる妄想を具現化する力。この能力があれば、自分の思うがままに物を作り出し欲しいものが手に入れることができる】


そうかかれた文字が自分の視界に飛び込んできた。


それを見た俺の感想は2つ。

(だ、ダサいが.....なんて強そうなスキルなんだ......。)

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