27実践的授業②
俺達は新しい先生から投げ渡された装魔刀を力強く握る。初めてもった剣は意外と重い。命を奪う力がある事を素人の自分にもひしひしと感じさせた。
「先生は属性使わないんだって。しかも3人がかりなら行けるんじゃない? 山田くんもいるし」
「いや油断するのは危ないだろう。あの喋り方からして新しい先生は自分が負けるなんて微塵も思っちゃいない。それくらい腕に自信があるってことだろ。それに俺と山田に関してはマジで初の実戦だ。どうなるかわからない」
「何言ってるでござるか迅殿。拙者が一緒に戦うんでござるよ。剣技は少し齧ってたでござる。なんなら2人は休んでてもいいでござるよ」
山田は自信満々と言った感じで嬉々として剣を握り先生を鋭い眼光で睨みつけた。
「相変わらず心強いやつだ」
山田は基本気持ちが悪いがやっぱり頼りになるな。俺は先程まで感じていた不安や緊張などが少し薄れていくのを感じていた。
「話し合いは終わりか? いつでもいいぞ。勿論初撃はお前達に譲ろう。遠慮はなしでな」
そう言って先生も俺たち3人に対して剣を構えた。見ただけで分かる。この人はつよいと。何度も死線を潜り生き抜いて来た風格を自分でも感じる。だが自分たちは異世界人。多少のバフはこちらにかかっているはずだ。こんなところで負けてはいられない。
「行くぞ2人とも」
「うん!」
「おうでござる!」
掛け声と共にまず山田が我先にと高速で先生に近寄り剣先を真上から思いっきり先生に叩きつけた。
「ガギン!」
金属が激しくぶつかったような凄まじい音だ。風圧までこちらに飛んでくる。
「貴様山田と言ったか? 筋がいいな。性格には難ありだが実力は申し分ない。もっとこい」
余裕綽々と言った様子で山田の剣を受け止めた。そんな先生の顔から僅かに笑みが溢れている。根っからの戦闘好きなのだろう。山田に何度も打ち込まれるたびに幸せを噛み締めているようだった。
「僕も忘れないでよ!」
「勿論忘れていない」
山田の剣を避けた先生の後ろから佑ちゃんが斬りかかる。しかし先生はまるで少し重いものを持ち上げた時のように軽がると剣を受け止めた。
「これが二角鬼を狩った人間の力か。まだ足りんな」
受け止めた後すぐに先生は佑ちゃんの腹部に向けて強烈な蹴りを打ち込んだ。
「グア!」
凄まじい勢いで佑ちゃんが吹っ飛んでいき近くの木に激突した。なんてパワーだ。こんなの人間じゃない。こちらも異世界人だ。ある程度のパワーアップはされているはずなのに。俺は先程吹き飛んだ恐怖が再び心を満たしていくのを感じていた。体が硬直していく。
先生は俺たちアドバンテージをモノともしないほど強い。
「そこで棒立ちをしているお前は何だ? 作戦か? それとも怠慢か? どちらにせよ俺が気を使う必要はないことはわかるな?」
「や、やばい!」
先程まで佑ちゃんと山田と打ち合っていた先生だが真っ直ぐ俺のところに向かっている。すでに剣は振りかぶられている。剣先が徐々に自分に近づいてくる。
「迅くん! 行かせないよ!」
「拙者もでござる」
こちらに向かってくる先生に対して2人はそれぞれ挟み込むように横から剣撃を撃ち込もうとする。
「遅いな」
薙ぎ払われた2つの刀剣をイナバウアーをする要領で体を大きく傾けた先生はスレスレで2つの剣をかわしこちらに向かってくる。
「頭を使え頭を使え頭を使え......」
どうするどうする。このままでは自分はやられてしまうだろう。何か対策はないか。もし自分が無策で切り掛かりなんてすれば返り討ちに合うのは目に見えてる。何だ何かないか。
俺は必死で今の状況を打開する為の策を考える。
「そうだ、属性だ。使ったことはないが強く握り念じれば属性が装魔刀に流れ込むって佑ちゃんが言ってた。それなら.......」
俺は剣を強く握った。まるで何かに縋りつくように。すると、剣の銀色の部分が赤く変色したちまち赤色のオーラのようなものが現れて来た。間違いない。火属性を流し込めたんだ。
「火属性か。異世界人にしては珍しいな。そこからどうする?」
先生がこちらに試すような視線を送りながらついにこちらに剣が振り下ろされる。
「あぶね!」
俺はそう言いながらも火を纏った装魔刀で何とか受け止めた。
「お、重たい。こんなの体が持たないぞ......」
剣と剣がぶつかる重み。それは自分の想像を軽く超えていた。先生の凄まじい怪力、これはうけきれないぞ......。
「今助けるよ!」
「拙者も」
佑ちゃんの装魔刀は紫に光だし山田の装魔刀は茶色く鈍色に変化した。俺と剣の押し合いをしている先生に切り掛かる。
「おりゃあ!!
「えいでござる!」
「そうだそれでいい。3人とも基礎中の基礎である属性の発出はできている。ここからが見物だな」
2人の剣をこれまた当然と言った様子でかわして先生は心底楽しそうに僕たち3人を睨みつけた。




