19 選ばれた1人
「そうですか。もう座学は十分と言うことなんですね。先生とても嬉しいです。やっと3人とも鬼を倒すための心構えができたと言うことなんですね」
タイガたち3人との気まずい時間を過ごし、放課後山田と佑ちゃんの3人でロイド先生に早く実践をと言うことを伝えた。するといつも眩しい笑顔はより輝きとても嬉しそうに話を聞いてくれた。この流れはもしかするとこちらの要望が通るかもしれない。
「まあー鬼を倒したいと言うか能力をもっとバンバン使ってみたいみたいな? 特に誰かのためにと言う感情はないけどまあせっかくだし色々能力使って見たいでござる〜」
「そうだよねー。やっぱり僕もせっかくだから色々自分の能力とか使ってみたい。当分元の世界に変えられないなら、今のこの世界を満喫したいなーなんて。」
山田と佑ちゃんは正直に自分の思いを先生に伝える。村の人のために早く強くなって役に立ちたい.。そう思って大抵の人間はこの学舎で勉強し戦い方を学ぶのだろうが俺たちはこの世界に関係のない人間。そしてただの高校生だ。誰かのためではなく自分の好奇心や欲望を満たすために何かをしたいと言う感情の方が強い。
俺も2人の意見には完全同意だ。
「......わかりました。あくまで村人の為や鬼に対する憎しみが高まり鬼を倒すための力を身につけたい、そう言うわけではないということでよろしいですか?」
笑顔でロイド先生が聞いてくる。悪いが先生の言うとおりだ。
「そうだ先生。色んな鬼との戦いの歴史や鬼に対する憎しみについて勉強してきたがそんなことはまあ悪いけどどっちでもいい。俺たちの今後のこともあるし能力の使い方を教えてくれないか?」
「......もちろんです。動機はどうであれ皆さんには早く鬼と戦えるようになって欲しいと思っていました。それでは今から戦いの方法について教えましょう。」
なぜか深刻そうな顔をした後ゆっくりと先生はそう答えた。不思議な間はあったがどうやら本当に教えてくれるらしい。
これでやっと座学から解放されると思うと心の底からすっきりとした気分になれた。
「先生まず属性っていうのはどうやって使うんだ? 当たり前のように体に雷を纏っていたやつがいたがどうすればできる?」
「雷ということはタイガくんですかね? いい質問です。まず属性というのはどんな人間にも必ず適正というものが存在します。この適性というのはそれぞれの属性の精霊にどれぐらい愛されるのかによって決まります。」
なるほど、以前シュカが言っていた通り適正というのはどの精霊に好かれるのかによって決まるのか。俺はその中でも火の精霊に好かれているので火属性を使えるということだ。
「当然精霊にどのくらい好かれているのか、また体内に魔力量がどれくらいあるのかによって個人の力量に差は出てきますがね。まあお堅い話は置いておいて実戦を通して見てもらった方が早いでしょう」
「実戦? まさか鬼の所に行くということか?」
「その通りです。口でどれだけ伝えても体が覚えるのには時間がかかります。実際に能力を使用してみた方が分かりやすいでしょう」
確かにその通りだ。口で言われて頭で理解しても実際に使えないなら意味はない。
「やったでござる実戦でござる! また鬼を殺せるでござるー!」
不器用なことを大声で叫びながら山田が1人ジャンプをして喜んでいる。相変わらず気持ちが悪いやつだ。
「ただ、能力の使用というのは大変危険が伴います。ですので、お一人ずつ能力の使い方を教えさせて頂ければとおもいます。よろしければ佑さん、あなたからどうでしょうか?」
「ぼ、ぼく......?
困惑したような表情で佑ちゃんが呟く。
「はいそうです。この3人の中であればあなたが1番才能を感じたので。もちろん3人とも並以上の才能を感じているので2人とも落ち込まなくてもいいですよ」
にっこりと先生が微笑む。まさか佑ちゃんが1番才能があるとは。戦いにも消極的だしネガティブ思考が強い。心の中では心配していたが、先生からみれば違うらしい。俺は少し佑ちゃんのことをみくびっていたことに気づき、申し訳ない気持ちになった。
「まあ仕方がないでござるね〜、佑殿行ってくるでござる〜」
「ちょっとだけ怖いけど行ってくる。 あとで僕の能力沢山見せてあげるからね山田くん! じゃあね〜」
そう言って先生と佑ちゃんは鬼が根城にしている山に2人で向かっていった。俺と山田に関しては後日ということらしい。もどかしいが俺たち2人はロゼフさんの家に大人しく帰ることにした。




