18違和感
俺はタイガを倒し、呆然とするノイダとアラネを押し除け家に帰宅した。もう帰宅したのはあたりが暗くなっていたので夜ご飯は家に帰った3人はすでに済んでいるらしい。
「どうした迅怪我をしたのか? 何があった? 治してやろうか?」
心配そうにシュカがやってくる。お前のせいでこうなったんだとは言えず苦い顔が表に出てしまう。今はロゼフさんとシュカの家に山田と佑ちゃんの3人で泊めてもらっているような感じだ。一室部屋に空きがあったということで3人ともその部屋で寝泊まりさせてもらっている。
「問題ない。ただクラスメイトと少々いざこざがあっただけだ。結果的には丸く収まったので問題ない。 雷で殴られそうになった時は焦ったけどな」
「雷? まさかタイガか? あいつ昔っから喧嘩っぱやいんだよなー。でも悪いやつじゃないし許してやってくれ」
「結構殺す気だったんじゃないかと思うほど強い力で殴ってきてた気がするけどな。まだ戦い方を知らない奴にあんな絡み方をする奴がいい人間だとは思えない」
あれは間違いなく全力に近かっただろう。こちらが学舎に来始めたばかりということで多少の油断はあったのだとは思うがあの鬼気迫る表情からはじゃれあいですませるようにはみえなかった。
「入学1週間で喧嘩はすごいねー」
佑ちゃんと山田が同時にハモりながら呟いたのが聞こえた。どうやら先ほどまで外に出ていたらしい。今帰ってきたようだ。
「ちなみにどっちが勝ったんでござる? 怪我の感じからしてやっぱり迅殿は負けてしまったでござるか?」
「勝ったよ。奇跡的に固有スキルを上手く使えた。本当に運が良かったと思う」
間違いなくあれは奇跡だ。あの妄想者のスキルを自分が引き出せていなければ間違いなくあの瞬間自分は死んでいた。
「固有スキルってまじか! やっぱいいなー異世界人は。こっちの世界じゃあ固有スキルを持って生まれるやつなんてそうはいねえよ。いいなーワタシも欲しかったなー てか勝ったの?タイガに勝つなんて中々見込みあんじゃん」
シュカが唇を尖らせながらそう呟く。どうやら固有スキルというのはかなり珍しいものらしい。そしてどうやらタイガに勝ったというのはかなりすごいらしい。まああそこまで雷を纏えるんだ。弱いわけはないだろう。
「というか迅殿だけずるいでござるー。拙者なんてまだ自分の固有スキル使ったことないのにー」
「じゃあ使えばいいだろ。外出て少し歩けば開けた場所である。じゃあな」
シュカが冷たく言い放つ。本当に山田は誰からも好かれていないんだなと心の底から感じた。
「というかなんで俺たち鬼を倒す方法を学びにきたのにずっと鬼のこれまでの歴史を聞いてるんだ? もうお腹いっぱいだぞ。」
「あーそれはあれだよあれ。なんか学長の方針で新しく学舎に入ってきたやつがいればああやってこれまであった鬼との歴史を絶対語るんだって。なんか鬼の危険性やいかに倒すべき存在かって伝えるのが大事らしい。まあ私は何十回と聞いてるからもういいわって感じだけどなー」
「もうそろそろ僕も能力使ってみたいよ。せっかくの異世界なのに」
佑ちゃんも不満そうにぼやく。なんだかんだ佑ちゃんも色々と試したかったのだ。俺も同じ気持ちだからよくわかる。
「まあそんなに実技の勉強してえなら明日ロイド先生に相談してみたら? あの人優しいから多分気持ち伝えたら聞いてくれるぜ?」
にっこと八重歯を見せながらシュカが微笑んだ。やっぱりロイドという先生は爽やかな感じと優しさで大変人気があるらしい。勝ち気なシュカが認めるくらいだ。他の生徒への人望も熱いのだろう。
「それなら明日は3人で聞きに行くでござるね! ロブル先生をまずは説得でござる!!」
そう3人で決意した後俺たち4人は仲良く寝落ちをしてしまった。




