オリジナル短編『アイドル忠臣蔵』
※この物語は架空の物語であり、人物名などもすべて架空の人物です。
『アイドル業界あるある話』もあります。
これは、あるアイドルグループの内情の話。
歴女系アイドルグループ その名も『REKIっ娘。』
Wセンター 浅野暢子、大石ひなの
チームキャプテン 吉良由美子
愛称
浅野暢子 暢ちゃん
大石ひなの 大石ちゃん
吉良由美子 吉良リーダー
事件は起こった。浅野暢子が、吉良由美子の額に怪我を負わせ、暴行容疑で警察に連行されたのだ。
これを書いている俺は、Wセンターの浅野暢子と大石ひなのが推しメンの、佐久間比左志という者だ。
なんてこった…。絶対的センターが、チームキャプテンの額を傷つけ、傷害罪で連行されるなんて、前代未聞だ。
しかも、暢ちゃんは、吉良リーダーの背中に足蹴りまでしたとか、何があったのかは知らないけど、これは完全に松の廊下の刃傷事件みたいじゃないか。
ヲタにとっては、さらにショッキングな事態が発覚する。実は暢ちゃんは、吉良リーダーから事あるごとに叱責されていて、それもいわれのない叱責で、吉良リーダーの日頃のストレスの、はけ口になっていた、それに暢ちゃんが耐えかね、今回の事態になったというのだ。
これは完全に、あの忠臣蔵の松の廊下の刃傷事件に、そっくりではないか!
しかも、メンバーの名字が浅野と吉良という、しかも大石までいるという、これは単なる偶然の一致で片付けられるのか?
『令和アイドル界の、松の廊下刃傷事件!』
と、記事が出る始末。
『REKIっ娘。』は、メンバー同士の仲の良さもウリだったのに、どうして…。
吉良リーダーだって、後輩メンバーからも慕われる、素晴らしいリーダーだと思っていたのに、それなのになぜ…。
いずれにしても、暢ちゃんは『REKIっ娘。』のセンターから外されるだけでなく、グループからもクビ宣告。
アイドルグループからのクビ宣告、それは事実上、死刑宣告にも等しい。まさに切腹にも等しいと思った。これは別に俺の個人的な意見だからいいのだが。俺の推しメンからは、この件があってからも外してはいない。
当面は、Wセンターの方は吉良リーダーと、大石ちゃんが勤めることになり、吉良リーダーはチームキャプテンとの兼任となる。実質『REKIっ娘。』の総監督だ。
もうあとは、大石ちゃんに託すしかないと思った。最初にグループに入ってきた時はアイドル活動に対する意欲もそれほど無く、正直な話、この先やっていけるのかな?といった印象だったが、その後飛躍的な成長を遂げ、ついにはWセンターとして双璧を成すまでになった。
大石ちゃんは、『学習漫画日本の歴史』『学習漫画世界の歴史』のテレビCMの発表イベントに登場。折しも今年度からは、『歴史総合』の授業が始まった時期だった。
大石ひなの「ヲタの皆さん!暢ちゃんの分まで、私たちが頑張ります!
どうか、この大石ひなのを、そしてこれからの『REKIっ娘。』を、よろしくお願いいたします!」
この傷害事件で文字通り傷ついたグループのイメージを自分たちの手で回復する、という決意の表れ、大石ちゃんの表情からもうかがえた。
中には、いつまでたっても事件に関してネチネチと言い続けるような輩もいるからね。
一方で、吉良の方は、所属グループでの活動は次のステップに向かうための腰かけとしか、もはや考えなくなっていたようだった。
それなのに、卒業を発表せず、その後もなお、『REKIっ娘。』に居座り続け、チームキャプテンの座にも、相変わらず居座り続けていた。
一部では、「こういうメンバーに限って、なかなか卒業しないで居座り続けている」などというネットの書き込みなども見られた。
ネット掲示板への書き込みもいろいろとあり、意見なども寄せられている。
こういった意見や要望は、運営の方できちんと議論します、などと言いながら、実際には、ろくに議論もされていないこともある。
そもそも必要の無い、くだらない内容、とでも思われているのか。
そんなこんなで、『REKIっ娘。』はその後、大石ちゃんを中心に活動し続け、それからは、これといったグループ内の動向も無いまま、
気がつけば、あっという間に1年あまりの時が過ぎ、あの事件のこともすっかり語られなくなっていた。
事件自体が、最初から無かったかのように、
吉良リーダーもまた、チームキャプテンの座に、平然と居座り続けていた。
アイドルグループの内部にも、いろいろとありますなあ。
『歴史総合』の教科も始まっていますね。
『学習漫画日本の歴史』『世界の歴史』は、何か読んでいますか?




