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天使すぎる転生幼女は魔族を平和に導きたい!  作者: 由岐
第3章 いざ、お仕事スタート!
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可愛い子には何とやら(エディオン視点)

 あーあ……。

 今日は朝にルカと飯を食ったきり、全然顔を合わせる暇が無かったぜ。


 まあ、それも二人きりってワケじゃない。世話役のムウゼとナザンタも同席してたんだけどな。

 とはいえ、ようやく仕事も一段落ついたし、可愛いルカの顔を拝みながら優雅なディナーと洒落込(しゃれこ)もうじゃねぇか!


 半日ぶりにルカの顔を見られると、食堂へと向かう脚がいつもより軽く感じられる。

 今日はアイツの初仕事だった。まだまだ小さな子供ではあるものの、あれだけしっかり喋れる賢い子なら、あと十年もすれば俺やヴェルカズの仕事だって手伝えるようになってくれるだろう。

 その日が来るのが待ち遠しい……とも思うんだが、あのちっこいルカの姿を見守っていられるのは、今だけなんだよなぁ。


 ……いつかルカが年頃の娘になったら、リーシュのヤツみたいに俺様に冷たくしてきたりすんのかなぁ。嫌だなぁ……ルカには反抗期とか来てほしくねぇな……。

 せっかく気分良く歩いていたのに、勝手に未来を想像して、一人で落ち込む俺だった。




 魔導王国軍幹部から王宮勤めの末端の者までが利用可能なのが、この王宮一階の大食堂。

 来客用の食堂はまた別で用意してあるから、ここに集まるのは俺や近衛の連中、植物園や地下図書館の管理人なんかがほとんどだ。

 適当に空いているスペースを確保して待っていると、すぐに目当ての相手がお付きの騎士様と共に現れる。文字通り天使のルカと、近衛兄弟の弟の方……俺の二番弟子であるナザンタだった。


「おーい、こっちだこっち!」


 俺が片手を挙げて手を振ると、夕食時で賑わう食堂の中から、ルカとナザンタ達がこちらを発見してくれる。


「あっ、エディしゃん!」

「場所取りありがとうございます、エディオン様!」

「いいってことよ。それよりほれ、ルカは俺の隣に座ろうな〜?」

「あーい!」


 最初に出会った俺に難なく懐いてくれているルカは、俺の誘導通りに側へ駆け寄って来た。

 すぐに俺はルカの身体を持ち上げてやって、隣の席に座らせてやる。


 すると、無言でナザンタは更にその隣に腰を下ろした。やっぱりナザンタのヤツも、ルカの隣は譲りたくないらしい。

 まあ、そうでなきゃわざわざ世話役になんて立候補しないか。ナザンタは誰に似たのか子供好きなもんだから、ルカが来たのが嬉しくて仕方がないんだろうな。


 それから間も無くして、ムウゼとリーシュもやって来た。

 既にルカの両隣は俺とナザンタがキープしていたせいで、どことなくだが、後から来た二人からの視線が痛かった。席順に文句があるなら、もっと早く来るべきだろうに。……なぁ?


 その後は、ルカの初仕事について色々と話を聞いた。

 ルカの指導にあたる植物園管理人のリーシュからは、ルカの真面目な仕事ぶりがよく評価されているようだ。今度、時間を作って様子を見に行ってみるか。


 ……っと、その前に。コイツらに言っておかなきゃならないことがあるんだったな、と思い出す。

 俺はフォークでステーキを突き刺したところで、ムウゼとナザンタの方を見た。


「……ところで、ムウゼ達はもうじき『あそこ』に向かう時期だったよな?」

「ええ……それにあわせて、休暇を申請しております」

「例年通り、今年もヴェルカズからアレの採取を頼まれてるんだが……」


 と、言いながら俺は隣のルカへと視線を向ける。


「……むぅ?」


 ルカは魚のソテーを頬張りながら、首を傾げて俺の顔を見上げていた。

 頬っぺた膨らませたその顔、めちゃくちゃ可愛いなオイ!


 ……おっと、いけねえぜエディオンよ。今は冷静に、クールにいく時だぜ。


「……ゴホンッ! あー……その、アレだな。ずっと王宮の敷地内に閉じ込めておくのは、ルカの情操教育上よろしくないと思うんだよな、うん。つーワケで、だ。お前ら、今年はルカを連れて外出するのが休暇取得の条件な!」

「ルカちゃんと、ボク達が一緒に……?」

「ああ、それもルカの植物園管理人補佐としての仕事の一環ってヤツだぜ。分かったな、二人共!」


 だが、きょとんとしているナザンタに対して、兄のムウゼは厳しい目を俺に向けてくる。


「……本気なのですか、エディオン様」

「本気も本気、マジのマジだ。ちなみにコレ、軍師命令な?」

「全く……貴方という方は、昔から全く変わりませんな」


 軽い調子で権力を振り翳してやると、ムウゼも強くは言い返せない。我ながらタチが悪い上司だよなぁ、俺様!


 ……でもまあ、実際ルカを王宮に閉じ込めっきりにするのは良くないだろ? こういう機会でもないと、うちの近衛騎士最強コンビが揃って護衛に付けるタイミングなんて、そうそうないからなぁ。


 すると、話について来れないルカが、喉に詰まらせないように注意しているのか必死な顔をしながら、一生懸命ソテーを飲み込んでから言う。


「あ、あにょ! わたち、ムウゼしゃん達とどこかにおでかけしゅるんでしゅか?」

「ああ、そうだぜ。行き先は──」


 ルカに行ってもらうのは、ムウゼとナザンタの生まれ故郷──かつては『風の吹く町』と呼ばれた、ゼルムの町の跡地だ。

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