わたくしの完璧な監禁計画が失敗する訳がない(1200字)
今日は遊びに来て下さって、ありがとうございます。
男のかたを部屋に呼ぶなんて、初めてかもしれませんわ。
あなたとは、一度ゆっくり、二人きりでお話してみたいと思っていたんですの。
ほら、あなたのまわりって、いつもお友達がたくさんいらっしゃるでしょ。
なかなか、二人だけって状況になれませんでしたので、
だから、こうやって遊びに来て頂いたんですのよ。
え?
どんなお話がしたかったか、ですって?
それは、もちろん、あなたのお話ですわ。
あなたのこと、もっとたくさん、知りたいと思いまして。
じょ、情報収集って、言い方がおかしくありません?
別に、何かに利用するためとかではなくて、単純に相手のことを、もっともっと、知りたいとか。
そういう気持ちになったことは、ありませんの?
あ、ないのですね。
失礼ですが、あなた、誰かを好きになったこととか、ございませんの?
みんな大好きって、そういう話ではございません。
ライクではなく、ラブの話をしておりますの。
え?
わたくしが、あなたのことを好きなのか、ですって!?
ば、ば、馬鹿なことをおっしゃらないで下さい。
どこをどう勘違いすれば、そう思うのかしら。
今のは、たまたま話の流れで、そういう話が出てきただけで、わたくしのこととは無関係ですわ。
ごほん。
さて、では小粋なトークで緊張もほぐれたところで、このなんの変哲もないお茶を飲んで頂けないかしら?
あら?
ノドが渇いていませんの?
遠慮しなくていいですわ。
ヨーロッパから取り寄せた高級茶葉ですのよ。
か、隠し味なんて、何も入っておりませんわ。
何を疑っていらっしゃるのかしら。
え?
どうしたんですの?
私の後ろなんか、指さして?
え?
UFO?
ど、どこですか?
分かりませんわ。
見えませんわ。
えー、ジョークでしたの。
わたくしをからかいましたのね。
ひどいですわ!
え、紅茶を飲んで下さいますの!
じゃあ仕方ありませんわね。
許してさしあげますわ。
そうですね。
わたくしもビックリして、ノドが渇いたので、紅茶を飲もうかしら。
あら?
わたくしのティーカップの位置、少し移動していませんか?
さっき、わたくしがふりむいた時に、動いたんですの?
そんなに勢いよく、ふりむいたつもりはなかったのですが。
まあ、いいですわ。
ごくごく。
この紅茶、本当にわたくしのお気に入りで。
マカロンとかクッキーと、よく合うんですのよ。
あの、ところで、なんだか眠くなったりはしませんか?
おかしいですわね?
え、いえ、何でもありませんわ。
こっちの話ですわ。
あら?
なんだか、わたくしの方が逆に眠いような。
ふわあ。
むにゃむにゃ。