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人間嫌いのダークエルフ女騎士に告白し続けたら、お持ち帰りされた(2300字)

なんだお前?

オレのことが好き?

そうか。

だが、オレは人間が大嫌いなんだ。

他を当たってくれ。


……。

………。


お前…、昨日のやつか?

告白だったら、断ったはずだが?

あんまりしつこく付きまとってくるようなら、斬るぞ。

……なんだこの花は?

プレゼント?

花なんてオレには必要ない。

持って帰れ。


……。

………。


また、お前か。

で、その手に持ってるのは何だ?

もしかして、オレへのプレゼントのつもりか?


はぁ……。

あのなぁ、回復薬なんて、他人から貰うわけがないだろ。毒でも入れられたらどうする。


ん…?飲んで証明する?

いや、そこまでしなくても……って、おいおいおい、ストップストップ。


分かったよ。毒が入ってないのは、よーく分かった。お前、変なやつだなあ。まぁ、最近回復薬も値上がりしてるしな。これはありがたく貰っておくよ。


……。

…………。


おっ、お前か。

ちょうどいいところに来た。


お前がこの前持ってきた回復薬。

あれ、どこの店で買ったんだ?


だいぶ質のいい回復薬だったからな。腕のいい薬師くすしがいる店は知っておきたくて。


お前が作った?ほ、本当か? それでお前はどこの店で働いてるんだ。


学生? お、お前、まだ学生だったのか……。


どうだ? お前さえ良ければ騎士団所属の薬師くすし見習いとして、バイトしないか?


学生のバイトとしてはかなり条件がいいと思うが、どうだ?

オレとデート?

ああ、いいぜ。ただし、お前の薬が品評会ひんぴょうかいで最優秀賞を取れたら、デートしてやる。


……。

…………。


おーい。元気出せよ。

落ち込みすぎだろ。

品評会で特別賞もらえたんだろ?

まぁ、たしかに最優秀賞は取れなかったけど、特別賞も充分すごい賞なんだぞ?


しょーがねーなー。

お前、酒は飲める年齢だよな?

どうだ?一緒に飲みにでも行くか?

おう、2人きりで飲みだ。

いや、飲みに行くだけだから、デートじゃねえよ。



……。

…………。



なんで人間を嫌ってるのか?


そりゃあ、やっぱりオレ達ダークエルフが人間から差別されてるからかな。


野蛮とか荒くれ者とか言われてな。

まぁ、オレ達ダークエルフは、森に住んでるようなハイエルフと違って、荒野で狩りをして生活してきたからな。多少荒っぽい性格であることは否定しないが……。


それでも野党や盗賊扱いされるのは我慢ならねえな。たしかに生活に困って、盗賊に身を落としてるダークエルフもいる。だけど、ダークエルフ全員をそういう目で見るのはおかしいだろ?


まぁ、でも、オレも反省したよ。


オレもそういう人間と一緒だった。人間全員がダークエルフのことを悪く思ってるって決めつけちまってた。


お前みたいにダークエルフを差別しない人間もいるし、人間にも良い奴がいるって分かったよ。


おかげで騎士団にいる人間とも、最近はうまくやれてるんだ。お前のおかげだよ。


ん……なんだよ?

妬いてるのか?

ははっ、まだ付き合ってもないのに彼氏気取りか? 安心しろって。

そういうのじゃねえから。


……。

…………。



うー。……ひっく。

なんらよ?

まだ全然酔ってねえよ。こんなのはなぁ、酔った内には入らねえんだよぅ。


いいから聞け。

オレの話を聞け。

あのなぁ、嫌な貴族がいたんだよ。ダークエルフのことを馬鹿にしてくるオッサンでよぉ。


でもオレは騎士団の人間だから、気に食わないやつでも、ちゃんと守らねえといけねえ。

まぁ、オレは仕事に誇りを持ってるからな。たとえ相手が嫌なやつでも、仕事はちゃんとするさ。仕事じゃなかったら、ぶん殴ってるけどな。ははははは。


それで、よー。

そいつが言うんだよ。

どーせダークエルフは色事が好きな尻軽なんだろって。

あー今思い出しても、腹が立つぜ。やっぱり殴っとけば良かった。


だいたい、オレなんか彼氏もできたことも、ねーのによぉ。

まぁ、たしかにモテない訳じゃねえよ。お前以外のやつに告白されたこともある。


でも、相手がオレの体目当てなんだろうなって、なんとなく分かっちまうんだよな。そしたら、なんか冷めちゃってさ。


だいたい、お前だって、オレの体が目当てなんだろ?

隠さなくていいって。初対面でいきなり告白してきたし、そういうことなんだろ?


……ん? あれが初対面じゃない?

あれより前に……あったことがある?


えっ? いつの話だよ?


お前が薬草取りをしてる時に、魔獣に襲われたところをオレが助けた?


なっ……そんなことがあったなら早く言えよ!オレ、お前のこと、急に告白してきた変なヤツだと思ってたぞ!


いや、分かるわけねえよ!

森で魔獣に襲われてる奴なんて、今までいっぱい助けてきたし……。

そんな一人一人の顔なんて、いちいち覚えてねえよ。


でも、……そうか。

お前はオレの体に魅かれた(ひかれた)わけじゃなかったのか。


オレの騎士としての姿を見て、オレのことを好きになってくれたのか……。


ふーん……。


あれ?やべえ。

なんか顔が熱い。

ううう、やっぱり酒に酔ってんのかな。


だ、大丈夫だ。

大丈夫だから、そんな風にじっと見つめないでくれ。


やべえ……なんなんだよ……この気持ちは……。こんな気持ちになるの初めてだから、……訳わかんねえよぅ……。


な……なぁ。

お前が良かったらだけど。

今日オレと……その……ねるか?

か、勘違いするなよ。

お前のこと……なんか良いなって思うし、色事が好きなんじゃなくて……お前のことが……す、……好きなんだからなっ。

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