体操服をこっそり、くんくんする彼女 (1400字)
うわっ!
部屋ちらかってるとは聞いてたけど、
思ってた以上に、ちらかってるんですけど。
なんで、漫画が床に落ちてるの?
本棚あるんだから、ちゃんと本棚に入れなよ。
うわ、体操服もおちてるし。
これ、いつの?
昨日のだから全然大丈夫って、
全然アウトだよ!
あれ?
どこ行くの?
下に飲みものを取りに?
わたしも行くよ。
一人じゃ飲みもの運ぶの、大変でしょ?
お客さまなんだから、そこら辺でリラックスしといて
とか言われても
リラックスできるスペースないんですけど。
わかった、わかった、ここでお留守番しときますよー。
え? エロ本なんて探しませんよー。
でも、そんな風に言われたら、逆に探したくなっちゃうかも?
冗談だよ。
あせりすぎ。
じゃあ、お言葉に甘えて、私はここで待っとくねー。
はーい、いってらっしゃーい。
さてと。
それにしても、ちらかってるなぁ。
男の子の部屋って、みんなこんな感じなのかな。
えっと、この漫画は本棚のここに、入れといても、いいのかな?
あー、でも、勝手に移動させないほうがいいかな?
ま、いいや、いれちゃえ。
で、この体操服は。
昨日のだって、言ってたけど。
くんくん。
やっぱり、汗臭くなっちゃってるじゃん。
これは普通にアウトでしょ。
くんくん。
アウトだよ。これは。
汗臭い。
ちゃんと早く洗濯しないと。
なかなか臭いが取れなくなるでしょ。
でも、なんか嫌いじゃないかも。
このにおい。
くさいけど、なんか、もっとかいでいたいっていうか。
って、何、言ってるの、私!?
今の発言のほうが、アウトじゃん。
いや、私も、自分が匂いフェチだってことは
ちゃんと分かってるよ
自覚してるよ
でも、こんな汗くさい体操服とかは
好きじゃないし。
うん。
私が好きなのは、
石鹸とか、ジャンプーのにおい、だから。
干したてのお布団の匂いとかが、好きなんだから。
だから、こんな汗くさい体操服の匂いなんて
好きじゃないよ。
好きなはずない。
ちゃんと、好きじゃないって確認するためにも、
もうちょっと、かいでみよう。
くんくん。
くんくんくん。
う〜ん、くしゃい。
こんな汗くさいにおい、好きなわけないじゃん。
やっぱり、くさすぎるよ。
くんくん。
これって、
この距離でも、こんなに臭うのに、
もし、
鼻を体操服に押し付けたら、
どれぐらい匂うんだろう?
すごく気になる。
いや、
でもそれはやばいよね。
人の体操服に鼻おしつけるって
見られたらやばいよね
けど、ばれなかったら、いっか。
よし、急いで、かいじゃおう。
時間的に、もう戻ってきても、おかしくないし。
でも、ちょっと緊張するなぁ。
ごくり。
くんくん。
あわわ。
すごい、鼻にダイレクトすごいよぉ。
なんか、匂いに包まれてるみたい。
くんくんくん。
くさいのに、幸せ、かも。
あれ?
えっと、幻覚かな?
幻覚じゃ、ない?
いつから、部屋に戻ってきてたの?
ちょっと前から?
ふーん。
ねえ、見てた?
さっきの見てた?
そっか〜、見てたんだぁ。
えっと〜、
どれくらいの強さで殴ったら、
記憶って飛ぶのかな?




