ヤンデレラミアの蛇化毒(1400字)
あら?
勇者、目が覚めたの?
そうよ。
あなたは私との戦いに負けたのよ。
なんで殺さなかったのかって?
なんでだと思う?
私ね、ずっと好きな人がいたのよ。
でも、私はラミア、蛇のモンスターだからね。
モンスターが人間と愛し合うことなんてできるわけがない
そんな当たり前のこと、分かってた
でも、
蛇は執念深い生き物だからね。
私には
好きって気持ちを諦めるなんて、できなかった。
だからね。
一生懸命頑張ったのよ。
たくさんの人間やモンスターを食べて、私は強くなった。
昔とは、けた違いの魔力を手に入れたわ。
そうやって、私は進化して、新しい力を手に入れたの。
そうね。
戦いで、あなたに勝つのも楽勝だったわ。
でも、戦いの強さなんかより、
もっともっと素晴らしい力を手に入れたの。
ふふ、どんな力だと思う?
……その名も、蛇化毒。
名前の通りに、人間を蛇へと変えてしまう毒。
そうよ、どんな人間だって、私と同じラミアに変えてしまうの。
その毒を生み出す力を、私は手に入れたの。
これで、私はもう我慢なんてしなくていい。
種族の違いに、思い悩むこともない。
……ふふ。違うわ。
あなたに、蛇化毒なんて使ってないわ。
あなたが動けないのは、
麻痺毒のせいで、体がしびれているだけ。
蛇化毒を使ったのは、違う子よ。
さてと、あなたに会わせてあげたい子がいるの。
ほら、もういいわ、入ってきて。
ふふ。……どう、びっくりした?
あなたの仲間で、恋人だった魔法使いちゃんよ。
すっごく素敵な姿になってるでしょ。
ほら、魔法使いちゃん、
勇者にあなたの姿、ちゃんと見せてあげて。
勇者も目をそむけたらダメよ。
魔法使いちゃんの姿をよく見るのよ。
どうかしら?
もう人間の二本の足じゃ、なくなってるのよ。
おへそから下が、蛇の身体になっちゃってるのよ。
紫色のうろこが、ツヤツヤ光ってきれいでしょ。
ね、魔法使いちゃん、恥ずかしがったらダメよ。
勇者に人間やめちゃったところ、
もっと見せてあげて。
ほら、お口あーんして。
ねえ、勇者、みなさい。
この立派な毒の牙。
それに、この長くて、かわいい舌。
チョロチョロって、出したり、引っ込めたりするの、かわいいでしょ。
長いだけじゃなくて、尖端が二つに分かれてるのよ。
この魔法使いちゃんの蛇舌と、私の蛇舌を絡めると
すっごく楽しいのよ。
ええ、あなたが眠っている間に、
私と魔法使いちゃんは、たくさんいいことをしたのよ。
残念だったわねぇ。
あなたの恋人だった魔法使いちゃんは、
もうモンスターで、人間の敵。
そして、勇者なんかより、
ラミアの私のことが、大好きになっちゃったの。
私がずっと片思いしてる間、
あなたは魔法使いちゃんと
たくさん楽しんでたものね。
私の大好きな魔法使いちゃんと
仲良くしてるあなたが、ずっとずっと憎かったわ。
でも、それも、もうおしまい。
私は、魔法使いちゃんと結ばれたの。
自分の好きな女の子が、
別の相手を好きになっていくところ、
ちゃんと見ててね。
ほら。
私と魔法使いちゃんが楽しんでるところ見てて。
魔法使いちゃんが、私に
キスをおねだりしてる顔、みて。
これからはあなたが苦しむ番よ。
ふふ、たくさん絶望してね。




