手をつなぎたいアピールを必死にする彼女 (800字)
う~、お外、さむいね。
今年はあったかいって、テレビで言ってたけど、全然寒いよね。
え?
うん、ちょっと手袋、きょう家に忘れちゃって。
ありがとう。
心配してくれて。
あのさ、ちょっと手が寒いから……
もし、嫌じゃなかったらだけど……
え?
カイロあるの?
私にカイロくれるの?
でも、それじゃあ、あなたのがなくなっちゃうんじゃない?
あ、2個あるんだ。すごいね。準備がいいね。
え?
別に、全然がっかりなんて、してないよ。
ありがとうね。
カイロうれしいよ。
あの……ね、カイロもあったかいんだけど、
ほかのあったかくなる方法も試していいかな?
うん、ありがとう。
じゃあ、その方法なんだけど……え?
えっと、それはあったかいお茶のペットボトル?
あ~、コンビニとかにおいてあるよね。
私の家に来る途中で買ったんだ。
え、くれるの。ありがとう。
うん、まだ全然あったかいよ。
そうだね。
寒いときは、こういうあったかいお茶のペットボトルとか、
自販機で売ってるおしることか、コーンスープとか
手をあっためるのに便利だよね。
私はおしるこのほうが好きかな。
あまいほうが好きだし。
コーンスープも別に好きなんだけど
最後のほうにコーンの粒が残っちゃうのが嫌で。
がんばって最後まで食べるの難しいよね、あれ。
あのさ、もう駅前まで来たけどさ、だいぶ人が多くなってきたよね。
こんな風に、人が多かったらさ、もしも、はぐれちゃったら困るじゃない?
だから、………え? 手つないでくれるの?
やったぁ。
本当にいいの?
うん。
すごく嬉しい。
実は、ずっと手を繋ぎたかったんだけど、なんか言うの恥ずかしくて。
え?
始めから気付いてたの?
気付いてたのに、気付いてないフリしてたの?
もー! いじわるぅ。