妹にXXXXXXが見つかって(1300字)
ねえ、お兄ちゃん。
これって、何?
この変な漫画、なに?
え?
ごめん、お兄ちゃんの部屋、勝手に入ったよ。
なんでって、
前、漫画かしてくれたじゃん。
あの最近アニメ化したやつ。
あれ面白くて、次の巻も読みたかったんだけど、
お兄ちゃん、家にいなかったから、
勝手にお兄ちゃんの部屋に入っちゃった。
いーじゃん、部屋に入るぐらい。
なんなの。見られて困るものがあるなら
ちゃんと隠しといてよ。
お兄ちゃんの本棚から、マンガの続きの巻を取ったら
この変な漫画が勝手に落ちてきたの。
え?
中身?
うん、読んだよ。
なんか、ちょっと怖かったんだけど。
お兄ちゃんって
こういうの好きだったんだね。
お兄ちゃんって
ホラーとか苦手じゃなかった?
なんでこんな
包丁持った妹におどされるような漫画よんでるの?
こんな妹が悪役みたいな漫画が好きなの??
……ひょっとして、お兄ちゃんって、
実は私のこと嫌いだったの?(悲しそうな声)
……え、違う?
この怖い妹が好きなの?
本当に?
私が怒ってるから
そんな言い訳してるんじゃないの?
ヒロインより、この病んでる妹のほうが好き?
ヤキモチを焼いたり
嫉妬してるところが可愛いの?
怖いけど、ドキドキする?
ふーん。
そーなんだ。(ほっとした声)
いいよ、信じてあげる。
もう!
変な心配して、疲れちゃった。
え?
お願いがある?
あー、分かってる。
お父さんとお母さんには、
こんな変な漫画持ってること
黙っててあげるよ。
え? それとは別のこと?
この漫画の妹のセリフを
言ってほしい?
私が、この怖い台詞を言うの?
なんで、私がそんなこと!
そりゃあ、お兄ちゃんの部屋には勝手に入ったけど。
もう! ……わかったよ。
一回だけだからね。
で、どのセリフがいいの?
このページの、これ?
実の妹に、
こんなセリフを言ってもらいたいなんて
お兄ちゃんって、絶対変だよ。
…………別に、だめとは言ってないでしょ。
仕方ないから言ってあげる。
ちょっと待ってね。
ん、んん……。(咳払い)
(間)
うん、じゃあ、セリフ読むね。
『お兄ちゃん、
その女の人はだれ?
まさか
彼女じゃないよね?
お兄ちゃんは私と結婚するんだから
他の女の人を好きになったりなんてしないよね。
ねえ、お兄ちゃん。
なんでそんなこと言うの。
お兄ちゃんなんて大っ嫌い!
私と結婚してくれないお兄ちゃんなんて
いなくなっちゃえ!』
……ふぅ。
どうだった?
ドキドキした?
そう。
なんか、そこまで喜ばれると
恥ずかしいんだけど。
まあ、
お兄ちゃんに喜んでもらえて
よかったよ。
すごく感情がこもってて、良かったって
私、この子の気持ちなんて分かんないよ。
だって、
お兄ちゃんは
この漫画の主人公と違って
ちゃんと私と結婚してくれるもんね?
……なーんちゃって。
冗談だよ。
ふふ。びっくりした?