なかなか眠れない甘えたがり彼女 《添い寝》(1200字)
あれ、起きちゃったの?
ごめんね、起こしちゃったかな?
あ、違うの? よかった。
え、私? うん、なんだか、まだ眠れなくて。
今日ちょっとお昼にねちゃって。
うん、お昼ごはん食べた後、どうしても眠くなっちゃってね
お昼?
ドーナツ食べたよ。
えー、おやつじゃないよ。
お昼ごはんドーナツ。
そんないっつもじゃないよ。
今日だけ。
ねえ、大丈夫? 眠いんだったら、ちゃんと寝てね。
え、私とお話したい?
ありがと。
うれしいよ。
今日? 何もしてないよ。
だらだらしてただけ。
あのね、インターネットで、ネコの動画を見てたんだけど。
すっごくかわいいネコちゃんがいてね。
うん。
すごく頭のいいネコちゃんでね。
自分でドアを開けて、外に出て行っちゃうんだよ。
すごいでしょ。
きっとね、彼氏のネコに会いに行こうとしたんだよ。
そう思わない?
えー、おなか減ったとか、そんなんじゃないよ。
もー、ロマンがないなー。
あ、いいこと思いついちゃった。
ねー、今度ネコ耳つけてよ。
あの駅前の大きいお店に、売ってる場所なかった?
ねー、お願い。ネコ耳いやだったらワンコ耳でもいいよ。
えー、どっちも嫌とかなしだよー。
私もつけたら、つけてくれるの?
ふーん、私の猫耳みたいんだー。
猫耳ないけど、猫やってあげようかー。
ごろごろにゃー。
ご主人さまー、なでてほしいにゃー。
いいにゃー。
もっとなでてほしいにゃー。
ふふ。
なんか、恥ずかしいね。
あれ、どうしたの?
どこ行くの?
あ、飲み物とりにいくの?
私はいいよ。
のどかわいてないし。
今飲んじゃったら、寝てる時に、トイレ行きたくなりそうだし。
うん、いってらっしゃい。
【少し間をあける】
あ、おかえり。
あれ? それってお水のペットボトル?
へー、お水買うんだ。
私、お水とか買ったことなくて。
お茶とかジュースのペットボトルは、買ったことあるけど。
だって水って、水道の蛇口から出るし。
いや、蛇口の水より、おいしいんだろうなって、分かるんだけど。
え?
じゃあ、ちょっとだけ飲んでみようかな。
うん、水だね。
おいしい……かな?
えへへ。分かんない。
この前コンビニで白ブドウのジュースが売ってたんだけど、あれ、すっごくおいしかったよ。
うん、今度買ってきてあげるね。
白ブドウって、マスカットと一緒なのかな?
マスカットのジュースも売ってるよね。
果物のゼリーだったら、マスカットのゼリーが一番好きでね。
あれ。
もう寝ちゃったかな。
疲れてたのに、おしゃべり付き合わせて、わるかったかな。
ふふ、寝てる顔すきだなー。
まつげ長いなー。
すっごいうらやましー。
男の人でこれは反則だよー。
わあ。
えー、起きてたのー。
もう! ちょっと! さっきのなし。
忘れて忘れて。
もー。