漫才 不動産
二人「はいどうも、宜しくお願いしまーす」
ツッコミ「突然ですが私、お引っ越ししようとおもいまして」
ボケ「お引っ越しですか! 良いですね!」
ツッコミ「それで不動産屋できちんと条件を伝えられる様に少しシミュレーションしたいのですが、手伝って貰えませんかね?」
ボケ「僕がですか? はい大丈夫ですよ」
ツッコミ「それじゃ不動産屋さんをお願いしますね、いきますよ。こんにちはー、すいませーん」
ボケ「ヘイらっしゃい!!」
ツッコミ「え!? らっしゃい? ここ八百屋さん!?」
ボケ「何言ってんですか、八百屋のわけ無いでしょう。で、何握りやす?」
ツッコミ「寿司屋かよっ!! カンパチ食いに来たんじゃねぇんだよ!」
ボケ「(半笑いで)お客さ~ん、カンパチって、そこはコハダでしょ」
ツッコミ「どっちでもいいわっ! 違うだろ! 不動産だろ不動産! 物件を紹介しろよ!」
ボケ「ハイハイ物件ですね、シリアで宜しいですね」
ツッコミ「俺は戦場カメラマンかっ!! なんでそんな状勢がデリケートな所に引っ越さなきゃならないんだよ!」
ボケ「え? 違うんですか?」
ツッコミ「違うわっ! 日本だ日本! この町! で、条件は……」
ボケ「あ~ハイハイ大丈夫、私も不動産歴長いんで、お客さんの顔見れば求める条件全部わかるから。あれでしょ? 駅近?」
ツッコミ「え? マジすか? 確かに駅近は求めてますけど」
ボケ「でしょう? 駅近で……事故物件と」
ツッコミ「なんでだよっ!! 俺そんなに事故物件住みたい顔してんのかよ!」
ボケ「え? 違うの?」
ツッコミ「違うわっ! 条件は1LDKで駅近、家賃はこれくらいで後、オートロックも欲しいな」
ボケ「お客さぁん。そんな条件の物件なんてですねぇ」
ツッコミ「あ、やっぱ難しいっすかね?」
ボケ「860万件ヒットしました」
ツッコミ「多過ぎるだろ! 860万件て! なんだこの町は! 異世界とでも繋がってるのか!」
ボケ「(半笑いで)ちょ、お客さん、異世界て! なろう小説じゃないんだから」
ツッコミ「うるせぇよっ! とにかく、そんなにチェック出来ないから二、三ピックアップしてよ」
ボケ「それでしたらお客さん、もう一万程家賃頑張って貰えたらハイグレードな物件をご用意出来ますが?」
ツッコミ「ハイグレード?」
ボケ「はい、例えばこの物件なんか10LDK」
ツッコミ「え? 一万アップで? 10LDK?」
ボケ「はい、10LDKバストイレ無し」
ツッコミ「無ぇのかよっ!! むしろなんで無いんだよ! 10部屋もあるなら削ってでも付けろよ!」
ボケ「じゃあこちらで契約と言う事で……」
ツッコミ「しねぇよっ! するわけ無ぇだろ! 次だ次!」
ボケ「そうですか? ではタワーマンションなんてどうです?」
ツッコミ「え!? タワマン? マジで?」
ボケ「はい、50階建ての最上階ですね」
ツッコミ「嘘! え? それ凄く無いっすか!?」
ボケ「それもワンフロアぶち抜きで360度大パノラマ!」
ツッコミ「50階のタワマン最上階でワンフロアぶち抜きぃ!? マジでこの値段でいいんですかっ!?」
ボケ「もちろんですよ。ただ時折突風に煽られますが」
ツッコミ「屋上じゃねぇかっ!! そりゃワンフロアぶち抜きだわ! 部屋でも何でもねぇよ! 雨ざらしじゃねぇかっ! 次だ次!」
ボケ「これもダメですか。余談ですがエレベーター無いんですよ?」
ツッコミ「拷問かっ!! 余計ダメだろっ!! 50階エレベーター無しって何の修行だよっ!!」
ボケ「それじゃあこれで最後になりますね。4LDKなんですが、シェアハウスなんですよ」
ツッコミ「シェアハウスかぁ…… 俺は少し人見知りしちゃうからなぁ」
ボケ「ただ、こちらのシェア相手、美人女子大生ですよ?」
ツッコミ「え? 美人?」
ボケ「はい、すっごく。お写真御座いますので確認してみて下さい。こちらです」
ツッコミ「うわっ!! ちょっと本当に凄い美人じゃないですか!!」
ボケ「しかも現在彼氏はいないと聞いております」
ツッコミ「ええ~マジかぁ~、ああどうしようかなぁ、条件的にも申し分無いんだよなぁ」
ボケ「こちら急がないと別の方が入られてしまうかも知れませんね」
ツッコミ「ですよねぇ、こんな美人さんと同居出来るんだもんな。よしっ! 決めた! ここにします!!」
ボケ「ありがとうございますっ!! それでは早速契約書にサインを……」
ツッコミ「はい。ここですね」
ボケ「あっと、言い忘れてましたがこの美人さん」
ツッコミ「どうかしたんですか?」
ボケ「夜中しか現れないし、うっすら透けてます」
ツッコミ「事故物件じゃねぇかっ!! いい加減にしろ!!」
二人「どうもぉ、ありがとうございましたぁ」
読んでいただいてありがとうございます!
こちらの作品を読んで少しでも笑っていただけたら、私の拙作『使い魔はリヴァイアサン』も併せてご一読いただけたら光栄です。