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第五章 読み合いの末に(六)

 等々力を直視したガニーが、驚きで上ずった声を上げた。

「お前が、リーだと? お前はアントニー! いや、ジョセフだったか。でも、今は違うな、やっぱり、リー? 本当にリーなのか?」


 ガニーの語尾は完全な疑問形になっていた。ガニーの顔がなんで、こいつがここにいるんだといった複雑な表情だ。ガニーがインカムを通して仲間から説明を求められたらしい。

「そうだ。情報通りの場所にリーがいた。でも、リーは、かってアントニーで、アントニーは次にジョセフだった。そしたら、これが、今度はリーだった」


 仲間に日本語で説明しているので、相棒はランスではない。ランスは死ぬか、病院送りになったのだろう。

 急遽、組織に人員の手配を依頼したら、現地の日本人を紹介されたといった状況か。

 ガニーの言葉を聞いている仲間が何を言っているか、意味がわからなくて聞き返したのだろう。

 ガニーが怒った声で発言した。


「何を言っているかわからないって、現場を見て話している俺ですら何を言っているかわからないんだよ。聞いているだけの、お前にわかるわけがないだろう」

 酷い応答だが、ガニーの気持ちもわかる。

 ガニーは明らかに混乱を来していた。ガニーが銃を構えたまま、ゆっくりと、確認しようと近づいてくる。ゆっくり四m進んで停まった。

(よし、あと六m)


 ガニーは明らかに疑った顔で首を傾げて「お前は、本当にリーか?」と尋ねてきた。

 等々力はリーの空気を纏ったまま、答えた。

「私がリーだと名乗っているんだから、リー以外の何者でもないよ」

 ガニーの顔が歪んで、憎憎しそうに発言した。

「デジャヴか? 同じような言葉を、前にお前に聞かされた気がする」


 等々力はすかさず、逆ギレを装って言い返した。

「お前こそ、何わけのわからない言葉を言っているあるか。こうして顔あわせて、リーだと名乗ったの、初めてあるよ」

 ガニーの注意は完全に等々力にだけ向いていた。あと、六m歩かせれば、等々力の勝利だ。

 ガニーが顔を横に振って明言した。

「違う、違うぞ、もう、騙されないぞ。お前はリーじゃない。第一、リーは女だ。お前、明らかに男だろう」


 騙されないと宣言したので、ガニーはまたも等々力の術中に嵌ってきたと確信した。

 完全に違うと思っているのなら、騙されないとは口にしない。

 等々力はリーの空気を纏ったまま、不満そうに声を出した。

「お前、さっきから何を言っているあるか。面と向かって、人殺しと罵られる経験があっても、男だと言われたのは初めてね。女性に対して、とても失礼あるよ。殺されるのは仕方ないとしても、男だと思われる。これ、侮辱ね」


 ガニーは思わず、銃を下ろしそうになって慌てて銃を構え直した。

「いやいやいや、女なわけがない。お前は絶対に男だろう。それに、リーでもない」

 等々力はいかにも心外だとばかりに文句を付けた。

「本当に失礼な男ね。じゃあ、女だと証明するあるよ」と上着ボタンに手を掛けようとする。

 ガニーは第一ボタンを外すのをじっと見ていた。が、すぐにハッとなった表情で「動くな」と命じた。


「動くな」と命じた理由は、リーなら何か武器を隠しており、服を脱ぐと見せかけて、反撃してくる可能せいがあると判断したから。

 つまり、ガニーは目の前の等々力を「ひょっとしたら、本当にリーかもしれない」と、心のどこかで思ってきた証拠だ。


 性別も違って、たいして変装もしていない。だが、プロとして空気に敏感なだけにガニーはエア・マスターの影響を一般人より強く受けるようだ。

 等々力は両手を挙げた状態で、ムスッとした表情を作って不機嫌に発言した。


「私がリーだと、わかったか。じゃあ、約束通り、連れて行くね。そっちに歩いていっていいか?」

 ガニーが即座に否定して、強い口調で命令した。

「ダメだ。動くな。両手を頭の上に乗せて、その場に伏せろ。伏せるんだ」



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