そこは自分の......
ある、一本の桜の近くには、異界とつながる場所があるらしい
異界にはたくさんの資源、食べ物があり時間もゆったりとしているらしい
ここは、何もない
夜になると影がきてあぶない。
だから、早くむこうにつれってあげる
だから、いこう?
「いきたい。」
うん。
わかった
桜の木の下にいこう
「ちがう。私はいきたい。」
え?だから、行こうって。
「あなたは何人。そこにつれていいた?」
さぁ?覚えてないな?
「この辺は作物がなってない。雑草すらない。なのに、丘の上の桜だけ」
「咲いているのはなんで?」
なんでって?
そんなの
『もう、ここが君が生きた世界じゃないからだよ。』
君は、もう生きてないんだ。
意識がしっかりしている人と話すのは久しぶりだ
だから、早く向こうにいこう。
「何であなたはここにずっといるの?」
うん。そうだよ。
「何で?」
うーん...なんでだろう
向こうにいけないんだ
あ、でもね。君はいけるよ。わかるんだ。なんとなく。
「さみしいねさみしくないの?」
うん。さみしくないよ。
いろんな人が来るから
「さみしい。って思わないから、進めないんだよ。」
なにそれ。意味がわからない。
さみしくなったらつらいだけじゃん。
いろんな人に会えるんだ、楽しいじゃないか
「...」
早くいこう
ここにいるとあぶないよ。
「さみしいは。会いたい。会いたいからさみしい。君は、会うのが怖いんだ。
だから、さみしくないって言ってるんだよ。人は、さみしがる。何にでも..
大切な、大切な人の感情。」
それが?なに?
感情がないからここにいるって?
君が気にかけることじゃない。どうでもいいだろ。
あーあ。今日が終わるよ。今日中に向こうにはいけないね。
時間がかかると君が危険だよ。
明日、いこう。
「ううん。いい。かえるから」
だから~むりだって。
聞いてた?さっきの言葉
「うん。だからかえる。」
はぁ!?あーもう。
話の通じない子だな。
イライラするな
あれ?こんなに感情をだしたのはいつぶりだろう。
あれ?あれ?
いなくなるの?この子。そうだよ。
向こうの世界に連れていくんだから…
つれてじゃない入り口までしかむりだ。
眺められるだけで、いけはしないんだから…
もっと話していたい
彼女と話したい。
「じゃ、いくね」
え?まって。
いかないで!!
なんで?
「なんでってもう、時間じゃん。」
時間?
「はぁ~。馬鹿だね。」
ば、馬鹿だと!
「私は、生きたいの。向こうには逝きたくなかったの、まだ合わなきゃいけない人
がいるから。」
合わないといけない人?
「そ、かえってくるのが遅くて遅くて何してんのかと。」
元気になってない?
「そう?頭がはっきりしてきて、会いたい人が馬鹿やってる事に気がつけたからじゃない?」
....
そう。そっか。
バチィーーーーン。
いったぁーーーーーーーー!!!!
なんだよ!いきなり!
両頬を思いっきし彼女にたたかれた。
そのまま、顔を上に向けられ
彼女と目が合う
初めて目をあわせた。
はじめてじゃない。彼女の目に見覚えがある。
彼女が透けてる。
いやだ。ひとりにしないでくれ。
君がいないと
さみしい。きみといたい。
彼女は満面の笑みをして消えていった....
さみしい。さみしい。会いたい。
『さみしいは会いたい。』
『会いたいはさみしい。』
あぁ
会いたい。さみしいよ。
上を向く
あぁ、なんで気がつかなかったんだ。ここは自分のせかいじゃない。
知っていた。自分の世界じゃないことを知っていたのに
ごまかしていた。わからない振りをしていた。
待ってる人がいる。
進まないと
桜は違う。違うなら
今度は梅とか、桃の木にでも行って
自分の世界を探そう
遅くなりすぎると怒られそうだな~。
あぁ彼女桃好きだったな~。かえるとき桃もって帰ろう。
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『ただいま。遅くなってごめん』
「おかえり」
「遅すぎ、馬鹿」
『ハハ...ごめんって、会いたかった。さみしかった。』
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