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ショーンは深くため息をついた。少しは親らしくなったと思ったが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、ルーカスの本質は何も変わっていないらしい。
「まあいい。その時はまた、わしのところへこい。」
「考えとく。」
「それはそうとお前さん今、目はどれくらい見えるんだ。そろそろだろう。」
「そうだな。ここにいた頃のちょうど半分くらいだと思う。」
「随分早いな。」
「ああ。」
「あとどれくらいだ?」
「日常生活に困るくらいまで下がるのに、このままのペースでいけば、4年。完全失明まではおそらく6, 7年ってとこだろう。」
「そうか。ジョンと同じくらいか。」
「そうだな。」
「無理はするなよ。まあ、言っても無駄だとは思うがな。全く、お前さんら天文学者はどいつもこいつも生き急ぎすぎだ。」
「今の学長は誰なんだ。」
「あ?ああ、お前さんの頃の学長はこの前退任したから、そうだな、あいつの弟かなんかだった気がするが、よく覚えておらん。」
「そうか。」
ショーンは一杯の林檎酒を飲み干して、口を開いた。
「ロイスの器具のイメージは昔のお前さんの器具の設計図のおかげで大体イメージできるが、お前とは違ってレンズの数は50枚でいこうと思う。」
「わかった。私はショーンの知り合いだから値引きしてくれ。」
「多少はな。それと、お前さんが欲しがっているレンズもあの棚の中にあると思うから、明日から欲しいレンズを選んでわしに声をかけろ。」
「ねび…。」
「わかっておる。それにしてもお前さんの町の林檎酒はいい味だ。」
「そうだな。」




