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わたしは、ベッドに倒れこみ、一瞬で眠りに落ちて、ふかふかのベッドの上で気持ちよく眠っていたが、階下の騒がしさのあまり最悪の目覚めを迎えてしまった。
「…おい!坊ちゃん!お前さんはルーカスさんの息子かい?」
ルーカスが何か答えている。
「そうかい。ルーカスさんもかなりの美人だと時計屋の倅から聞いてたから、似てないなあと思ったんだよ!まあ、この辺じゃ珍しくもないことさね。」
僕がいつもよりも就寝が遅かったルーカスのために、なるべく音を立てずにルーカスのブランチの用意をして、家事に取り掛かろうとした矢先、家中に響き渡るような声で誰かが扉の外から怒鳴ってきた。
「先生!いい加減ポストを作ってくださいよう!」
僕は、慌てて扉の隙間からねじ込まれたぐしゃっとなった手紙を拾って、テーブルへ置きながら、扉の向こうの郵便配達人に声をかけた。
「すみません、ルーカスは寝ていますので、静かにしてもらえませんか?」
「おっと、こりゃ失礼。お前さんは誰だい、先生じゃあないな?俺は、郵便を配達しにきた役人だ。お前さんの顔を見たいから扉を開けてくれよ。」
さっきよりは幾分マシになったが、それでも彼のダミ声は十分うるさい。その証拠に、ほら、林の鳥がバサササッと一斉に飛びだった音がした。
「わかりました。すぐに開けますから、静かにしてください。」
扉を開けると、ヒゲがもじゃもじゃして、全体的に大きい男性が立っていた。