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「ロイス、お前が天文学者の、特に視力を使う方の学者になることは、おそらく許可されないだろう。あいつも最近親の顔になってきたからな。なんども頼み込んで、それでもあいつが許してくれなかった時は、これを言うんだ。」
そう言って、カインさんは笑いながらルーカスのやんちゃ話を教えてくれた。あのルーカスが幼い頃、こんなにやんちゃだったなんて思わなかった。
「これ以上は言えないな。というより、これ以上言ったらルーカスに殴られそうだ。」
大きな声で笑いながら、カインさんはそう話を締めくくった。
まさかこの話が本当に役立つとは思わなかったけれど、とにかく許可をしてくれてよかった。
「ルーカス、ありがとうございます。」
「すぐには君の器具も作れませんから、もう何ヶ月かは、レンズを使って観測してくださいね。」
ロイスは少し、ほんの少しだけ不満そうに見えたが、それでも嬉しそうにしていた。何にも執着していなかったかったロイスが、こんなにも天文に執着してくれて、なんだか私まで嬉しくなってしまう。
「さあ、残りを食べてしまいましょう。」
ロイスとのブランチを終えた後、私たちはお互いの仕事に戻った。急いでやるべきことを終え、今日の夜空の様子を見ると、午後からりと晴れていた空は、天頂まで灰色の雨雲が垂れ込み、どうやら今夜の観測は無理そうだった。このような観測が出来ない日は、ロイスへの講義をすることがもはや習慣になりつつある。




