表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空を見上げて  作者: 森中満
36/114

36

「今年もまた回ってきましたか。ロイス、そろそろ天体についての知識も人並みについてきた頃でしょう。どうですか、自分でも手応えがあるのではないですか?」


ロイスは、嬉しそうに頭上に広がる空に目をやった。彼の目線は、私の観測用の青いインクを垂らしたかのような天頂付近から地平線の方までゆっくりと移っていき、山の向こうへ沈みつつある白っぽい夕日に目を細めている。


「そうですね。星や、星座の名前を覚えるたびに自分の世界が広がっていく気がして。」

「どうですか、そろそろ望遠鏡を覗いて見ませんか。」

「あ。あ…はい。」


ロイスは、前に見せたような狼狽は見せなかったが、彼の耳は相変わらず真っ赤に染まっていた。人によって、感情がよく現れる部位は異なるもので、皆がみな目が感情を語るわけではない。ロイスの場合は、耳らしい。随分と可愛い耳である。


「そうですね…。覗くだけなら、今夜でもできるのですが、観測をするとなるとすぐにはできないですね…。それでもいいですか?」

「はい。大丈夫です。」


そう言ったロイスの目は、夕闇の中でもきらりと光って見えた。


ロイスといつものように野菜スープとポテトサラダを作ってもらい、一緒に夕食をとった。ポテトサラダは、最近ロイスが、ドーランの八百屋のおじさんから教えてもらったらしい。私の恩人が好きだったものだ、とロイスに伝えたら、ロイスは嬉しそうな顔をして少し目を細めて笑った。


「さて、空も暗くなってきた頃ですから、望遠鏡のある別館の方へ行きましょうか。」

「はい。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ