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そんなことを話していると、いつのまにかただの道が石畳の道に変わっていた。定期的に雪かきをするマメな人物が住んでいるのだろう、石畳の道の上には、雪がほとんど残っていなかった。町に住む人々も防寒具とモコモコした帽子を目深にかぶり、もはや誰が知り合いで、誰が旅人なのかも分からないようすだった。それもあってか、私たちは特にトラブルに巻き込まれることもなく、役場まで行くことができた。
「さて、こっちへ来てください。」
私は、ロイスを手招きして自分のそばへ寄ると、養子縁組の手続きを行うために、係員を呼んだ。私と役場の職員が話している間ロイスは呆けたように私の方を見ながら、立ち尽くしていた。ロイスは、言われるがままに書類へとサインをして、彼に続いて私も書類にサインをした。手続きは滞りなく進み、私とロイスの間には親子関係が生まれたのだ。木でできた隙間風のひどい役場から出ると、ロイスは急に私の前に走り出て来た。
「すみませんでした。ありがとうございました。」
ロイスの声はなぜか震えていた。心なしか優しい風が今にも消えてしまいそうな彼の言葉を私に届けてくれる。
「私こそ何も言わなくてすみませんでしたね。でも、君は召使になるために孤児院で修行をしていたと聞いていたので、私のところも就職先としていいかなと思ったのでこのような形にしました。あれ、泣いているのですか?」




