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ガラス玉のような目が一瞬こっちを見たような気がしたが、おそらく気のせいだろう。隣にいる暖かさにも助けられ、私はいつもよりも深く眠りについた。
ルーカスはもう寝てしまったようだ。一安心して、窓の外を見ると、今日もいつものように星が綺麗だった。ここでの暮らしはとても心地よい。あの時はもう死んでしまいたいとさえ思ったが、思ったよりしもやけは痛くて、ルーカスにバレないようにしもやけが痛い間は、夜がくるたび泣いていた。あれ以来、死ぬのが怖くなった。死ぬことはあれほど苦しいものだと初めて知った。きっと暖炉の前のあのソファは僕の涙が染み込んでいると思う。何日か経ってしもやけが少し良くなり、初めてあの大きな望遠鏡のそばに立つルーカスを見たとき、ルーカスがとてもかっこよく見えた。きっとルーカスのあの夜空のような目には、僕の見たこともない、美しい光景がたくさん映っているのではないかと思ったから。ルーカスは、僕に夜は寝ていなさいといったけれど本当のことを言えば、夜空を観測するルーカスをずっと見ていたいくらいだった。そんなルーカスを僕でも手伝うことができることが嬉しくて、頑張って家事をやった。そんな生活も今日で終わる。またあの薄暗い孤児院で、やがてくる引き取り手のために辛い訓練をこなさなければならないのだろう。




