表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空を見上げて  作者: 森中満
20/114

20

別にサボってくれても構わないのだが、生来真面目な性格なのだろう。


私の家の同居人が増えてから、もう2ヶ月近く経つ。長かった冬にも終わりが近づいてきて、もうすぐ2月も終わる。冬場は雪に閉ざされる人里離れたこの場所も、だんだんと暖かくなって、行く手を阻んでいた雪もほんの少しずつ緩んでくる。家がある山の上の木々の若い芽もだんだん色づき、山全体が赤くけぶってきた。死んだように眠っていた大地が息を吹き返し始め、ふきのとうなど、雪にもぐっていた植物も少しずつ顔を出す。心なしか、吹き寄せる風も暖かい。


「さて、一度山を降りて、食料を調達しに行きますかね。ロイスも付いてきてください。」


ロイスはびくりとして、一瞬怯えたような目をするとほんの僅かに掠れた声で、はい、といった。


「明日行きますから、出かけられるようにしてくださいね。」


約束を交わす。明日は朝から出かけなければならないから、観測はできない。まあ、できないこともないがもう若くはないから、もしも今日観測をしたら、明日山を降りられないだろう。特にやることもないから、今日だけは、私も家の中の家事を手伝った。いつもより早くベッドへ入り眠ろうとすると、私より先にベッドにいたロイスが、もごもごと動いているのに気がついた。


「眠れないのですか。」

「すみません。」ロイスは一言謝ると、それきり動かなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ