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「できます。わかりました。おやすみなさい。」
「あ、それと私のベッドで寝ていいですよ。いつまでも干からびたソファだと辛いでしょう?どうも私は気がきかなくて、すみませんね。」
「そんなことはないです。ソファでも大丈夫です。」
「いいから寝てください。寝ていなかったら、それこそ今日みたいに怒ります。余計な手間をかけさせないでください。」
「すみません。わかりました。」
ロイスはそういうと、今度はおとなしく私の寝室へ向かったようだった。
「それにしても、今日も夜空は美しい。」
ルーカスが一歩外へ踏み出せば、冬特有の心まで凍らせてしまうような鋭い寒さがルーカスをきりりと包む。星の光は、冬のこの空気の中でより一層鮮やかさを増す。ほんのわずかな星の光が瞬くこともなく、こちらをじっと見詰めているというのは人間の視線がこちらへ注がれるよりもずっと心地よい。別館までの獣道のような人一人分が通れるような細い道を踏みしめていけば、今日もいつもと変わりなく、自分の一部がポツリと佇んでいる。少し調整をして、今日も昨日やもっと前の日々と同じように夜空を彷徨う。
また翌朝になって、倒れこむように自分のベッドに体を埋めれば、もうすでにロイスは起きていて朝ごはんを作っていた。
「おはようございます。おやすみなさい。」
「なんですか、その矛盾した挨拶は…。」
ルーカスは秒で眠りにつく。そしてまたいつものように正午に起きた。