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仕分けが一通り終わったら、別館から工具箱を持ってきて、細かなゼンマイを組み合わせる。ロイスもルーカスに時計の部品の組み合わせ方を聞きながら、丁寧に組みあわせていく。組み合わせる中で、ロイスはルーカスが思うより目がいいのかもしれないと思った。時計の部品はかなり細かいものも多く、普通の視力では部品が細かすぎて部品に目の焦点すら合わせることもできないのだ。
3時も回ろうかという頃、やっと時計が元に戻った。ルーカス自身も時計を作っていたのは10年以上も前だ。以前だったならば、この程度なら1時間くらいで完成させることができたが、当然手順も忘れかけていたし、色々と戸惑ってしまった。
「次は君の椅子を作りますよ。」
ルーカスは、別館から木材を取り出すと、器用に木を組み立てて、ロイスの椅子を作った。大きく枝を広げていた白樺の木の大人用の椅子だった。その椅子には、肘おきもきちんとつけて、椅子の背もロイスが大人になっても使えるように、ロイスの背丈よりも高く作ってあった。今のロイスが座ると、椅子の方が多少大きいから、いささか滑稽にみえたが。その日は、それだけでもう日が落ちてしまったから、ルーカスは観測の支度をして、天体観測をしなければならなかった。
「君は先に寝ていてください。」
「でも…。」
「どうせ、君には私の仕事は手伝えないでしょう。それよりも、明日の朝ご飯を作ったり、家の本館の掃除をしてください。できるでしょう?」