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「おはよう。あ、でも目覚ましの件、怒らないとは言ってませんからね。で?これはどうするつもりですか?」
「ごめんなさい…。」
ロイスは、じっと床に転がったゼンマイを見ながら、しきりに両手をこすり合わせる。指の間の水かきをつまんだり、左の指を右の指でつまんだりとせわしない。
「まあ、そんな時計、どうでもいいんですけどね。とりあえず、部品を一つ残らずかき集めて、リビングのテーブルの上においてもらえますか。色ごと、部品ごとに分けてくださいね。」
「はい。わかりました。すみませ…。」
「もう謝らなくていいですよ。」
「はい。」
ルーカスは、昨日の野菜スープをかき混ぜて、温めると、がたつくリビングの机の上に2人分おく。ちなみに椅子は2脚ない。だから、いつもロイスには立って食べさせていた。そろそろ、ロイスにも椅子を用意しなければいけないと考えていると、ロイスがリビングの隣の寝室からネジやゼンマイを持ってやってきた。
「意外と綺麗なものですね。もう35年前くらいの時計なのですが。あんな性格ですけど、あいつの腕は確かですね。さて、こっちへおいてください。仕分けは私も手伝います。まあ、とりあえずスープを飲みましょうか。」
2人でスープとパンをもしゃもしゃと食べると、部品の仕分けに取り掛かる。テーブルの上には天高くから降り注ぐ日光があちこちに乱反射して、キラキラと価値のないものたちを平等に光らせていた。丁寧に仕分けをしながら、一つ一つバラバラになった部品を拾い上げては置き、拾い上げては置きを繰り返す。