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忘れないうちにあらかじめ用意しておいた紙に書き留める。色をつける時間はないから、薄く下書きをしておくのだ。これを繰り返して、記録を残しながら、薄明が訪れるまでに観測できるのはせいぜい3個が精一杯だ。
「終わりですか?」
ロイスは小さな声でじっと私のスケッチを見つめながら遠慮がちに聞く。
「そうですよ。君もまだ育ち盛りなのですから、寝ていて良かったのですよ。」
あまりにも日光が眩しい。ロイスの顔は白飛びして、あまり判別がつかない。彼は今どんな顔をしているのだろうか。まあ、なんにしろとにかく寝たい。眠すぎて頭が痛い。眠い。
「君も眠いでしょう?きちんと暖かくして…」
ルーカスさんは何か言いかけながら眠ってしまった。彼はまるでカラスのような人だ。見た目も黒髪に黒目で、カラスによく似ているし。それにしても僕も眠い。
いつのまにか眠ってしまったようだ。ふっと、ベット脇の時計を見れば、もう正午だった。道理で日光が柔らかいわりに眩しいわけだ。隣を見ればロイスのまだあどけない寝顔がある。初めにロイスに会った時は、厳しいしつけを受けた子供、おそらく孤児、だと思った。もっと冷淡であまり喜怒哀楽で表情が動かない子供なのだと思った。これは幼少期に大変な体験をした子供には珍しくない特徴で、昔は私の周りにも同じような子供がたくさんいた。しかし、今ではそんな第一印象も少し変わりつつある。ロイスは、意外と孤独には弱く、動物に例えるとすれば、犬っぽいのだ。
「あ…。」




