表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空を見上げて  作者: 森中満
100/114

100

「それと、ルーカス…」


ロイスは勢いよく頭をぐいっと下げた。


「野菜スープが嫌いだとは知りませんでした。今までずっと夕飯を野菜スープにしてしまってすみませんでした。今夜からは何か別の料理を作りますので、お許しください。」


急になんだと思ったが、そんなことか。今更すぎて、少し笑ってしまう。


「別に君の野菜スープは美味しいので、嫌いではなかったんです。黙っていてすみません。このホットミルクの作り方は、カインにでも聞いたのですか?」

「はい。美味しかったでしょうか?」

「とても懐かしかったです。ありがとう」


 そういうと、ロイスは私が初めてみるような暖かい笑顔で、嬉しそうに笑った。黄金色をした蜂蜜の入ったホットミルクは、私には勿体無いほど暖かい。


 僕たちは家族として過ごした時間が普通の家族よりもはるかに短い。だから、こんな普通の日常の一コマに歪みが生まれてしまう。対話ができて、それが和解に繋がることは、とても美しいことだとは思うけれど、僕たちに限っては、対話よりも時間が必要だ。長い時間を共に過ごしてきた2人の空気感というのは、一朝一夕に得られるものではない。その二人にとってはあまりに普通のことであるのに、ソトから見れば憧憬の的だ。ルーカスのことを知りたいというよりも、ルーカスともっと長い時間を共に過ごしたい。他人と一緒に過ごしたいと思ったことなんて、初めてだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ