3着の制服
「私はな、元の世界で財テクをやっている」財テクって偉いおっさん臭いな。
「それが、こっちの世界では出来ない」「禁断症状が出た私がこっちの世界で見つけたギャンブルがふくびき券だった」
「へぇ」
「ちなみに街に出た時に道具屋で見かけた」
「で、何が当たるんですか?」ふくびき券でギャンブル中毒が収まるって、これは現代に戻ったら学会に発表しよう。
「確か着ぐるみだった」
「欲しいんですか?」
「まぁ、一応」あら意外。
「全然貸しますよ」私は整理していたゴールドの一山をみかかさんに渡した。
「恩に着るよ哲子」
「別にいいですよ、お金なんて歩いてれば拾えますし」
数日後。みかかさんが部屋に飛び込んできた。
「哲子!当たったんだよ」
「へ?何がです」食あたりかなと思って私がそう聞くと。
「ふくびきだよ」あ〜〜。
「おめでとうございます」
「ありがとうだよ。は〜〜↑」そう言って景品であろう着ぐるみを抱きしめるみかかさん。
「へ〜本当に可愛らしい着ぐるみですね」みかかさんに景品を見せてもらう。それはもののけ姫でなんとか衆が着込んでいたカムフラージュ的な毛皮ではなく、日本のゆるキャラチックなゆる可愛い着ぐるみだった。
「こういうのがあるんなら案外いけるかもしれません」
「ん?何がいけるんだ?」
「こっちで制服が売れるかなって」
「いいんじゃないか?」「ふくびき券を付ければ売れるぞ」あんた結局そっちかい。
制服がこっちの世界でも売れるのではと思った私は、市場調査として街の領主様に制服を3着献上してみることにした。
「この衣を世に献上すると」
「はい。スクールの羽衣でございます」
制服を見聞する領主。
「これは見たことがない衣じゃて」
「婦人用の着物でございます」
「お前の世界ではどういう時に着る服なのじゃ?」えっと。学生服って言うと値打ちが下がるかな?
「イメージクラブとかカラオケ屋で使われたりします」ままよっ。
「イメージクラブとは何じゃ?」
「想像力を駆使して楽しむ場所のことです」
「それは知的な香りがするのじゃ」
「ええ、そうですとも」
「カラオケとは何じゃ?」
「オペラに近いです」
「なるほど、社交の場で着る服なのじゃな」
「そ、そうとも言います」
「この3着の中ではこの服が面白いのぅ」領主様がそう言ったのはドンキで売っているようななんちゃってセーラー服であった。
「その服は油から作られております」
「なんとっ」
「その、私は魔法も使える商人なんです」私が服を作った訳じゃないけれど。
「哲子とやら、そちに店を出す許可を与える」
「ありがとうございます!」
「ねぇ、みんな。私こんどお店を出すことにしたよ」
「魔王はどうするの?」
「私は商人として商人のやり方で魔王と戦うよ」
「いや、そういうことを聞いてるんじゃなくてだな」
「哲子今日領主とあったんだってな」
「はい、それが何か?」
「領主が魔王なんだよ」
「えーーっ」「魔王を倒さないと帰れない?」
「うん」ガビーン、無知って罪だと思いましたよ。