レベリング
今日も今日とてスライムを光線銃で蹂躙しているふかばす一行。
「レベルがなかなかあがりませんね」
「いくら光線銃が無尽蔵に撃てるからってこれじゃ手応えがなさすぎるわ」
「おっ」
「みかかさん冒険しちゃいます?」
「うん、スライムの相手だといくるみが役立たずだしね」いくるみちゃんはトラウマでスライムを撃てず接近を許して体当たりを食らっている、そこいら中で。
「生傷が絶えませんもんね」
「ビキニだしな」
「ビキニアーマーだしな」
「でもでも、ビキニアーマーのおかげかな?腹筋割れたヨ」本人が良ければそれでいい。ちなみに姫はアジトでいくるみちゃん達に傅かれながらお茶している。
「でも、スライムからステップアップすると敷居がな」
「と言いますと」
「哺乳類とか人型とか」
「あ〜〜」
「喋れるやつなんかに出くわして命乞いされたら哲子殺れる?私は殺れるけど」
「むっ」
「哲子は甘ちゃんだな」
「みかかさんは殺れるんですか?」
「私にそんなこと出来る訳ないだろう」何で偉そうなんだろう。
「どうしましょう、先輩」
「殺さないとレベルって上がらないのかしら」ピーンと先輩の頭に名案が浮かんだらしい。
「いくるみちゃん達2人で模擬戦をやってみて」
「はーい」目の前でドラゴンボールばりの格闘戦を繰り広げるいくるみちゃん達。
「はい、ストップ」
「レベルが上った娘いる?」
「「はーい」」
「なるほど、パーティーアタックでもレベル上がるんだ」クックックと肩を震わせて笑う先輩。怖いですよ。
「でも、光線銃で楽しててよく今までレベル上がってたものね」経験値も何もあったものではない。
「そこでっ」「ひろゆきも言ってました何のスキルの付かない仕事を5年もやっちゃダメだってね」「やっぱりスキルなのよ!」
「ジョブじゃないのか」
「さすがバーサーカーだな、荒ぶってる」「で?」
「導き出した答えは2つ」「素手でスライムと戦うか」
「却下ね」
「光線銃に半殺しモードを搭載してオークとかと戦う」
「こっちでしょうね」「でも、半殺しにして禍根を残さないかな」
「殺されるよりマシでしょ」
そんな訳で、アジトに戻ると先輩は光線銃に半殺しモードを付けるための改良に取り掛かった。模擬戦でもレベルが上がることを知ったいくるみちゃん達は戻ってきてからも模擬戦を続けている。本人達曰く、じゃれ合ってるだけらしい。
私が拾ってきたゴールドの整理をしていると、
「おーい、哲子ちゃん」
振り返ると、みかかさんである。珍しい来客。
「どうしたんですか?みかかさん」
「折り入って頼みがあってな」言いづらそうにそう言った。
「何ですか、頼みって」
「その…お金を貸してくれないか」
「良いですけど、何に使うんですか?」
「道具を買いたいんだ」
「道具?こっちの道具屋に買うようなものありましたっけ?」
「いや、道具が欲しいんじゃなくてそのふくびき券が」
「ふくびき券!」意外であった、みかかさんそういうの好きだったんだ。