せっかくの異世界
翌日。
「で、園子。異世界からの帰還方法はわかった?」
「魔王を倒せば帰れるみたい」
「ちょ、それってまるで『このすば』じゃないですか〜」
「あら、哲子。知ってた?その通りだ」先輩が偉そうにそう言った。
「きちんとこの世界を計測とか観測してください」私が指をわなわなさせながらそう言うと。
「いや、帰ろうと思えば多分帰れるんだけどさぁ?せっかく異世界に来たんだしぃ勿体無いでしょう」先輩がそんなことを言う。
「だって、哲子!異世界だよ!」
「はい?異世界って何が素晴らしいんですか?」
「魔法だよ」
「あぁ」私は自分の身につけている指輪を触ってそう言った。「他に何かあったりします?」
「他?野糞とかしちゃうかもだよ」
「「「野糞!?」」」
「うん。だってここ中世ヨーロッパ程度の文明なんだし、トイレがなければ…ねぇ」
「そのどこが異世界の素晴らしいところなんですか!」
「だって、現代じゃ出来ないだろう」
「出来ますよ」しまった。
「そっかー帰ったらしてもらうから」
「ううっ」「それに先輩最近うんこづいてません?」「この前だってうんこBOMとか言ってたし」
「あれは敵さんが仕掛けたから」
「このまま行くとふかばす=うんこみたいなイメージを持たれかねません!」
「それは困るなー」「でも、この異世界用レーザーガンに簡易ウォッシュレット機能つけたのにさぁ」
「あっそれはいいですね」私がにっこりしてそう言う。
「レーザーガンにそんな機能付けるな!」みかかさんが突っ込んだ。
「で?何の話だっけ?」
「うんこ?」
「それはもういいわ」みかかさんがいくるみちゃんを制する。
「魔王を倒せば私たちが帰れるって話」
「そうそう」先輩はそう言うとみんなにレーザーガンを手渡した。それは球とか円錐で構成された、やたらSFな造形をしたいた。
「これがウォッ…レーザーガンですか」
「そう、パワー切れを気にせずほとんど無限に敵を撃ちまくれるゾ」「これで無双できるだろ」
「防御はどうなの?」
「怪我しても機械の体で復活できるけど」私とみかかさんが嫌な顔をする。
「嫌だよね、周りを沢山のいくるみに護衛させて進みましょう」
「かなり目立ちそうだけど、仕方がないわね」
「あとは、異世界特有の魔法が不確定要素ね」
「魔法があるってことは敵も使ってきますか」
「それは間違いないわね」「こればっかりは出たとこ勝負になっちゃうわ」
「そう、わかったわ」「で、これからどうするの?」
「まずはギルドね」「そこで冒険者登録するのがセオリー」
「ギルドってどこにあるの?」
「ここよ」そう言って先輩が航空写真に映し出された集落を指差した。