青田買い
開けて翌朝。お店を開けると一人の少女が佇んでいた。
「いらっしゃ〜い」そう声をかけるとお店に入ってきた。お客さんですね。
「ここは、お洋服屋さん?」
「そうだよ」
「お洋服高い?」
「う、うん」どうしよう、今日は金貨一枚で売るつもりだったんだけどな。
「哲子ちゃん、この子どう見ても金貨持ってないよね」
「こんな子供が金貨一枚持ってたらアブナイよね」
「この服高い?」
「高いっちゃ高いかなぁ」
「私お金持ってないの」
「えっ」
「私と交換でこの服売ってくれませんか」
「人身売買!」
「あなたは売られてTシャツを手に入れたらこのTシャツはどうするの?」
「私が着るよ?」
「でも、私たちがあなたを買ったら食べちゃうかもしれないゾ」
「食べるの?」
「食べないけど」
「…。」
「あなたここで働きたいの?」
「あれ?バイト志望だった??こんな子供働かせても大丈夫なのかな?」
「その前に人身売買の方が不安だよ〜。みかかちゃん達に確認したほうが良いヨ」
「まぁ、いいや。お嬢ちゃんにTシャツ渡しておくね」私がTシャツを幼女に手渡すと、試着室にかけていってすぐさまTシャツに着替えて出てきた。この子やる気だねぇ。
そのすきに私はアジトに確認の電話を入れた。
「みかかさん、私ですけど」
「どうしたの哲子?」
「Tシャツと自分を交換したいという幼女が現れましてねぇ。どうしましょう」
「その子はそこで働きたいってこと?」
「みたいです」
「親はなんて言ってるの?」
「ねぇ、君両親は?」頭を振る幼女。
「もしかして居ない?」コクコク頷いている。
「これは孤児みたいですねぇ」
「そっか〜」
「どうしましょう」
「いくるみはどう思う?」
「みかかちゃん見て見て!とてもカワイイと思う」
「良いんじゃないの?こっちには連れてこれないけど。現地採用はするつもりだったしね」
「わかりました〜〜」
「という訳でお嬢ちゃんお名前は?」
「リンダ」
「リンダちゃん、うちのお店を手伝ってくれるかな」
「いいとも〜」ぴょんぴょん跳ねて喜んだ。
喜んでいるリンダちゃんはとてもほほえましいのだが、入り口に似たようなお子様たちが10人ぐらい店内を覗きこんでいる。
「リンダちゃんあそこに居る子達は」私が恐る恐るそう聞くと。
「お友達〜」にこやかに入り口に手を振る。
「それってつまり」子どもたちがお店に乱入してきて一人一枚ずつTシャツを手に並んでいる。
「お会計は?」
「人身売買でっ」そんなカード払いに言わないで。
「哲子ちゃんどうする?」レジ係のいくるみちゃんがそう聞いてくる。
「乗りかかった船だ。みんな買っちゃる〜」
「哲子ちゃんステキ〜」両手の指先だけ合わせてそう言った。
「これじゃぁ、まるで孤児院だわね」
「典型的なお客より店員が多いお店になっちゃったね」かと言って、新人のお子様共にお店を任せることが出来るはずもなく。
「お姉ちゃん」
「ん?なんだい」
「トイレ」
「あ〜あそこの扉を出て左にあるよ」そう言うとお子様たちがぞろぞろとツレションかい?
「これは、お昼も考えないとならないね」
「飲食店や雑貨屋だったら良かったんだけどネ」そうなんです、ここは売り物はTシャツだけの簡易店舗。私たちも自分用の飲食物しか持ってきてないのです。
「みかかさん、実は大量採用に成功してしまいまして…」
「そう来たか」
「お昼ご飯食べにみんなで一度アジトに行っていいですかね?」
「それは駄目だよ」
「でもぉ。異世界じゃ出前取る訳にいかないじゃないですか」不満を述べる私。
「食べ物はうちから出前を行かせる」ほっとする私。
「その子達済む所無いんじゃないの?」
「えっ」
「孤児なんでしょう、最悪ストレートチルドレンよ。衣食住面倒見てあげた方が」
「そこまでしますか?」
「最初は店舗を開放するくらいしか出来ないけど、ゆくゆくは住み込みで働けるように寮を作ったり、自給自足出来るように畑とかも作っていく方向で」
「なんか話がとてつもなくシム・シティみたいな感じになってきてるんですけど」
「毒を食らわば皿までよ哲子」
「はぁ、まぁお子様たちの出方次第ですけど、とりあえず出前お待ちしてます」
「わかったわ」
戻ってきた子どもたちに私は聞く。
「皆はどこに住んでるの?」
「教会」
「じゃぁ、教会から通ってくる訳ね」私がそう聞くと皆一様にキョトンとした表情。
「だって、私たち買われたよ?」
「誰に?」皆が私を指差す。人を指差しちゃいけません!
「そっか〜大変な買い物をしちゃったなぁ」ペットより大変なものを買ってしまったようだ。




