女の子もおっぱいには勝てない
彩夏ちゃんは女の子が好きだ。
何人も女の子を侍らせて、キスしたりしてる。
しかも日に日にそのハーレムが拡大しており、中にはノーマルだった子もいて、クラスメイトの女子である私は恐怖を禁じえない。
ある日、私は日直で、次の授業で使う道具の準備をしなければならなかった。
これだから社会は嫌いだと愚痴りながら部屋を漁っていると、背後で開けていた扉が閉められた。
驚いて振り返ると、そこには彩夏ちゃんが後ろ手で扉を閉めていたのだ。
突然の事態に、私はぼぅっと見ていることしかできず、彼女が目の前にやってくるまで何もできずにいた。
「純子ちゃん、おっすおっす!」
「……おっす」
相変わらず胸元をがばっと開けた、扇情的なギャルっぽい格好だ。
ただでさえ大きい乳なのに、ブラで更に下から持ち上げて谷間を作っているのだから、かなり壮観な眺めとなっている。
その蠱惑の谷間に男子が、立派なものに女子の視線がいつも向いているのだ。
「ねえ、おっぱい揉んでみたくない?」
「うっ……、ご利益として揉みたくはあるけど……」
彼女はいつもこんなことを言っているので、今更特に驚きはしない。
ただ、やはり答えるとなると詰まってしまう。
「そうじゃなくてぇ」
彩夏ちゃんが更に一歩出て、私の手を取る。
「気持ちよくなるために揉むの」
そう言って私の手を、自身の胸に押し当ててきた。服の上からでも、ブラの上からでもない。
生の乳だ。
しっとりしてて、滑らかで、温かくて、柔らかくて、それなのに張りがあって。
一言で言えば、気持ちよかった。
私の乏しい語彙は勿論、現国の教師ですら表現しきることができないだろう。
勿論、私だって自分のを揉んだことはある。だが、こんなにも手が幸せにならなかった。
「どう、気持ちー?」
その問いに答えることはできない。
なぜなら、口から出そうになったのは、私の人生観を一変させる一言だからだ。
何も喋らない私に対して、彩夏ちゃんは怒るでもなく、ニコニコと笑っていた。
顔が熱い。
私今絶対変な顔になってる。分かんないけど。絶対、チョー変な顔になってる。
「ふふ、涎垂らしてるよぉ」
は、恥ずかしい……!
慌てて私が拭く前に、彩夏ちゃんがハンカチで拭ってくる。
そのことにこそばゆさを感じながら、指綺麗だな、とか、思ったよりかわいいハンカチだな、とか考えていた。
「凄い顔真っ赤だよ。大丈夫ぅ?」
誰のせいで、と言いたかったけど、茹で上がった頭ではそれすらできなかった。
足元が覚束ない程混乱しているというのに、手だけはしっかりと彩夏ちゃんの胸を楽しんでいたるのが不思議だ。
「んふふー、えーい!」
まったく勢いを感じさせない声を上げながら彩夏ちゃんは飛びつき、優しく抱き締めてきた。
丁度私の顔の位置に胸が来ているので、狙ってやったとしか思えない。
「むぎゅー」
ぬああああああ……!!
心の中で叫ばずにはいられない。
そうでもしなければ、ひたすら安心して駄目になってしまいそうなのだ。
どこにも置くことができない両手をさ迷わせ、おっぱいに溺れながら悶える。
捕食だ。きっとこれは捕食行為だ。それか同化しようとしているんだ。
一生懸命抗おうとするけど、押し寄せて来る圧倒的な安心感と幸福感が、私の意志を紙くずのように吹き飛ばしてしまう。
うぅ……っ、もう無理。幸せすぎて、これ以上されたら抵抗できなくなっちゃう。
体も思考もフニャフニャになって、駄目になっちゃう。
「ほーら、顔を挟まれると気持ちいいでしょ」
「ふあ~~~……」
ぷにょんぷにょん。
おっぱいで挟まれているだけなのに、そんな音が聞こえてくる。
頬をフカフカされると、幸せすぎて体が震えてしまいそうだった。
「ねえ、恋人になってくれる?」
「なるぅ……」
止めどころかオーバーキルされた私は、肯定しかできなかった。
――――
――
私は彩夏ちゃんのハーレムの一員となっていた。
と言っても、ハーレム要員同士でイチャイチャしているので、あまりハーレムといった感じはしない。
グループの全員が、彩夏ちゃんが大好き。こっちのほうがしっくりくる言い方だ。
どの娘もかわいくて、気持ちよくて幸せになれる。
そうなると自分磨きにも熱が入るから不思議だ。
私はノーマルだったつもりだけど、今は女同士でイチャイチャするのに何の抵抗も無い。寧ろ積極的になっているぐらいだ。
だってこんなにも気持ちいいんだから、仕方ない。
彩夏ちゃんは、今日もグループに一人加えた。
ちっちゃくて可愛い娘で、抱きしめると気持ちいい。思わず膝の上に乗せてキスしてしまった。
以前よりもピンク色だけど鮮やかな世界の中、私は毎日楽しく過ごしている。