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Ayakashi Days  作者: 閻魔天(ヤマ)
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妖たちとの出会い

アヤカシズ連載開始です。この物語は陰陽師しょうねんと人間が嫌いな妖狐玉藻の物語です。魔女や祓魔師エクソシスト、その他妖怪などが複数出てきます。楽しんで頂けると幸いです。

「ここか」

 俺、中原恒星なかはらこうせいはある建物を見上げながら言った。

 武蔵野荘という練馬区のはずれにある共同アパートだ。ここで今日から住むことになる。

 中々古めかしい建物だ。地元民の間ではお化け屋敷なんて言われてるしい。木造建築で建物の周りには苔や植物の弦などが張りついている。物々しい雰囲気が漂っていた。

「ここ人住んでんのか」

 思わずそんな声がでる。

「まあ、今更お化けなんて怖がるわけないけど」

 敷地内に入ってインターホンを押す。

 ピンポーンという音が聞こえた。

「はーい」という声が聞こえたかと思うとガタッとドアが開いた。

 そして俺は目を見開いた。

 妖怪が本当に出てきた。

 犬耳に尻尾をはやした見た目十代前半ぐらいの茶髪ロングの少女が玄関から出てきたのだ。

「えっと今日からここで世話になる中原恒星ですけど」

「はい、お待ちしておりました。どうぞ上がってください。私は犬山早絵いぬやまさえです。よろしく」

「あ、はいよろしくお願いします。ところで犬山さん」

「はい」

「犬山さんはあやかしなんですか?」

 その質問を聞いた彼女の表情が驚きで露わになった。

「見えるんですか?」

「あっやっぱりコスプレとかではないんですね」

 コスプレにしては尻尾も耳も大分生き生きとしてるように見える。

「俺、陰陽師おんみょうじなんで」

「!?」

 彼女の表情が警戒の色で染まった。

「い、いや別に祓ったりはしませんから」

 慌てて俺は言った。

「そうですか」

「ホッ」と彼女が安堵の息を吐いた。

「でも陰陽師はあやかしを祓うのが仕事じゃないんですか?」

「まあ、そうですけど、それは人に害悪を及ぼす存在だけで普通に生活してる人には特にそういう行為はしないですから」

「わかりました。ところで中原さんが陰陽師であること他の住人にも話してよろしいでしょうか?」

「別に構わないけど皆信じないんじゃないかな」

「大丈夫です。皆ここの住人あやかしや何かしら超常的存在ばかりなので」

「マジか」

「マジです」

「でもそれだと逆に言わないほうがいいんじゃ……」

「後で住人に陰陽師であることがわかった時どうします?」

「なるほど」


 ★


「今日からここ武蔵野荘に住むことになった中原恒星さんです」

「どうもよろく〜」

 早絵の紹介に応じて俺は目の前にいる住人たちに挨拶をした。先刻早絵から言われた通りほとんど全ての住人があやかしであった。

「ちなみに彼は陰陽師らしいです」

「ええ!?」

 住人のほぼ全員から驚きの声が上がる。

「特に私たちに危害を加えたりするつもりはないらしいです。なので仲良くしてくださいね」

「はあ、ふざけてんの!? 陰陽師なんて信用できるわけないでしょ!」

 早絵が言い終わった直後に狐耳と尻尾をはやした碧眼で金髪ロングの少女が声を荒げた。

「ふざけてません。玉藻たまもさん、あなたの気持ちはわかりますけど我慢して下さい」

「納得しかねるわ!」

「して下さい」

「無理!」

「玉藻」

 言うことを中々了承しない玉藻に早絵が能面のような顔で笑いかける。その場にいた全員の背筋にゾワリと悪寒が走り抜ける。

「はい」と玉藻は怯えながら言った。

 そして、退出ざま「ちっ」と俺の方を人睨みし、舌打ちをして出て行った。

「なんであんな嫌われてんの?」

「玉藻は昔陰陽師に酷い目にあってますから」

「もしかして玉藻って……」

「ええ、あの玉藻前たまものまえです」

「なるほどな」


夕食後。廊下で玉藻にあった。玉藻は俺と顔を合わせるなり、「ちっ」と舌打ちし、

「まだ生きてたんだ。早く死ねばいいのに」

「いや勝手に殺すなよ」

「うっさい、だまれ」

 そう言って玉藻はスタスタとどこかへ行ってしまった。

 しかし、弱った。個人的にはここでこれから住む以上住人とは仲良くしていきたいんだが、玉藻があの調子では到底仲良くすることなんて出来ない。

「苦戦中?」

 不意に背後から声がした。振り向くと青いショーパンに黒いポロシャツを着た黒髪ショートの少女が立っていた。

「君は?」

「そう言えばまだ自己紹介がまだだったわね。わたしはアリア・クロウリー、この世の全ての魔術を習得せし大魔術師よ!」

「どう見ても嘘だろ」

「う、嘘じゃないし!」

 図星だな、この反応。どう見ても日本人だし。

「で本当の名前は?」

「だから大魔術師アリア・クロウリーよ……」「その偽名じゃなくて本名は?」

 かぶせるように俺が言う。

佐藤花子さとうはなこよ」と少し頬を膨らませながら自己紹介した。

 うん、すごく普通の名前だった。

「了解。俺は中原恒星。さっきも自己紹介したけど、まあ改めてよろしく中二病さん」

「中二病じゃないし!」

「いや中二病だろ」

「魔術が使えるのは本当だもん」

 いきなり子供ぽっい口調になったな、こっちが素なのか。

「少なくても全ての魔術を習得してるってのは嘘だろ」

「うぐ」

 どうやらこの点も図星らしい。まあ、普通は世界中に存在する魔術を全て習得することなんて不可能だしな。

「つまり爆裂魔法を一日一回撃ち込んでぶっ倒れてしまう駄目魔法使いってわけか」

「そこまで酷くない!」

「酷いことは認めるんだ」

「って違う、酷くない! ちゃんとした魔術使えるよ!」

 慌てて彼女が訂正する。

「で本来の要件は何よ」

「そうそう、玉藻との関係改善を手伝って上げようと思って来たんだよ」

「なんでまたわざわざ」

「やっぱり一部空気が悪いと他の皆もあまりいい気持しないから。わたしだけじゃなくて他の皆も心配してるんだよ。今日玉藻リビングに来なかったでしょ」

 武蔵野荘では住人とのコミュニケーションをとる一環で食事は皆集まってする。それを今日玉藻は顔を出すなり食器を部屋に持ってて自室へ立て籠ったのだ。

「すまん俺のせいだよな」

「気にしなくていいんだよ。別にこのアパート人間お断りってわけじゃないから。現にわたしも人間だしね」

「そういってもらえるとありがたいな」

「いいってことさ」

 右目でウィンクをしながら彼女が言った。

「まあ、手伝ってくれるっていうなら喜んで手伝ってもらうけど、どうすんさ。あんな嫌われてちゃどうしようもないだろ」

「うーん、どうしよ」

「未計画かよ」

「うん」

「うんって」

「まあ、それはこれから考えるという方向で」

「了解。ところで俺は君のことなんて呼べばいいかな」

「アリアで……」

「わかった中二病さんってことで」

「だから中二病じゃない」

「だったら真面目に答えろよ」

「ハナでお願い。

 君まだあって間もないのに馴れ馴れしすぎない?」

「そりゃあんだけぶっとんだ登場の仕方したら畏まる気も失せるわ」

「そういえば何歳なの?」

「またストレートな質問だな。16歳、高1だよ。どうしてそんこと聞きたがるのよ」

「いや歳近そうだなって。そうか16か、同い年だよ」

「どこ通うの?」

石神井公園しゃくじいこうえんのすぐ近くにある三宝寺学院っていう私立の学校」

「へえ偶然ね、私も三宝寺学院さんぽうじがくいんの1年よ」

「それは驚いたな。じゃあ明日の入学式一緒に行かないか?」

「OK、問題ないわ」


 ★

 

 入学式は体育館で行われた。

 式が終わった後は新1年生は全員これから使うクラスへと案内された。

 ハナと俺は運良くも同じクラスになった。中高一環制である三宝寺学院は多くの生徒が中等部の頃から通ってる生徒らしい。だから一人でも知り合いがいると多少なりとも気が楽だ。ちなみに教室へ通された後俺たちは出席番号順に座らされた。俺はハナの真後ろの席だ。

「あっ、ハナおひさ~」

 俺の目の前に座るハナに誰かが声をかけてきた。見ると銀髪の日本人離れした少女がいた。

「久しぶり、える」

 えると呼ばれた少女にハナが返した。

「ハナその人は?」と、俺は聞いた。

「ああ、わたしの親友で天使あまつかえる。あまつかは天使てんしって書いてあまつかね」

 そこまで言ったところで一度ハナはえるの方を向いて、

「える、彼は中原恒星」

「中原君これからよろしくね」

 見た目に反する流暢りゅうちょうな日本語で彼女は挨拶した。

「おう、よろしく」と、俺は答えた。

「彼女は見ての通り、半分外国人の血が混じってるわ。お母さんがイタリア人なの」

「なるほど、だからか」

 彼女が日本人離れしてるのは髪だけではない。肌は白く寒い国の出身であることがうかがい知れた。

「というか2人はもしかして中等部の頃からここに通ってるのか?」

「うん、じゃなきゃ恒星以外の知り合いはいないことになるし」

「でも中二病だからどちらにしてもあまり友達いないじゃないか」

「失礼な、ちゃんといるわよ!」

「これで意外とはなは結構人気あるんだよ」

 天使さんが言った。

「そうなのか?」

「うん、結構男女問わずね。無駄に明るいからムードメイカーとして人気」

「へへー、褒められた~」

 ハナが嬉しそうに頬を染めた。

「ふーん」


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