謎はとべてすけたという解決編
自分が”黒くなる”
という事は
一度黒くなった後、そこから”元に戻る”のははたして”黒くなる”という能力
の中に含まれているのかどうか。それで使い勝手が大きく違う気がする。
そもそも前から疑問に思っていたのだ。
俺が今まで読んだ事のある物語の中で、特別の力を発揮するタイプなど
普通にありふれている訳だが、
例えば、火の魔法がこの世界にあるとしよう。
では、これに対抗する魔法を考えてみてほしい。
俺の答えは決まっている、
水の魔法である。
嘘です。
ゲーム的思考法ならそうなるかもしれない。
かくゆう俺も小学生の時くらいまでなら、生物を球体の中に閉じ込める事で
調教効果と主従関係を結ばせ、戦いの道に身を投じて行くような物語の
影響からか、そう選択しただろう。
ちょっとばかし何かをかじった事のある人間であれば、
いやいやそれだとスイジョウキガーとか言い出すのもまぁ想定内である。
主人公である炎使いが、文字を書いて色々な種類の技を出すタイプの物語で、
水の剣士相手に
「水蒸気さ・・・・!!」
という感じで倒した時に驚愕し、愕然とし、そして学習したものだ。
この発想では、水使いに雷使いをあてるのと同じ現象が起こると言える。
ファンタジー要素に科学的要素も取り込むとこういう事になるのだ。
ゲーム的思考に科学的思考が入るとこういう事になるのだ。
というか戦いが始まると、稀にこうなる事があるのだ。
さてでは、問題に戻ろう。
火の魔法に対する対抗の魔法。
端的であり、短絡的な気もするが【火を消す魔法】ではないだろうか。
一人が考える事は千人は考えるという話なので、こんな発想俺だけ!?
なんて自惚れる訳ではないが、俺の経験上【火の魔法】を扱う奴らは大体
出すだけ出して、消す事をした記憶が無いのだ。
火の魔法使い VS 火の魔法使い なんて局面も見た事もあるが、
大体お互いの火をぶつけ合っているだけじゃないか。
火を自由に扱えるなら、消す部分でも扱えよってなるじゃないか。
つまり【火の魔法】とは、正確な名称で言うと【火を出す魔法】なのではないか。
そんな訳で【火の魔法】=【火を出す魔法】の対抗策=【火を消す魔法】
うぉっ火だ!!
消せっ!消せっ!!
こんなありふれた日常な感じでいいじゃないか。
何も風の魔法で真空状態を作り出すだとか、視認できないくらいの速さで
打ち出せる魔法(雷)だとか、何か別の物をぶつけなくていいじゃないか。
というか【火を吸収する魔法】でもいいじゃないか。
うぉっ火だ!!
吸えっ!吸えっ!!
やっぱ消す方でいいじゃないか。
水の魔法の対抗法でいいじゃない吸うのは。
どっかの右手のように、よくわからん現象を全て打ち消すというのは、
争いの中、それらを鎮めるという点で、最適解な事なのかもしれない。
まぁ、火を出して、それを消されて、また火を出して、それを消されて。
そんなにっちもさっちもいかない状況になれば、
最終的に殴り合いになるんだろうが。
誰がいいだしたであろう。
某ゲームの攻略法にこうある。
【レベルを上げて物理で殴れ】
戦いでは、これはもしかしたら真理にせまっているのかもしれない。
考えが長くなってしまった。
とにかく、だ。
黒くなるというのは、黒くなったものを戻す事ができるとは限らないのである。
自分でやった事をそのままやりっぱなしだって事は普通にありえるのだ。
再三にわたって確認するが、彼らは今、自分の能力を実演し披露してくれる
為に行動している訳である。
黒くなった状況を元に戻せないと、過程し、能力を披露してくれたとしよう。
それはもうバーローの犯人状態だ。
いや、もっと酷いかもしれない。
あれはあれで口や目の辺りが人であるとわかるように白いのだから。
人の形どった黒いだけの状態。
恐ろしい。
写真に写りこんだりなんてしたら間違いなく心霊現象扱いだ。
そのような事態が起こったとしても全く問題が無い。
そんな状況。
もう一つしか考えられない。
着ぐるみ!!
つまり着ぐるみである。
着ぐるみをつけていれば、別にものっそい黒いだとか、バーロー状態だとか
そんなの全く関係なく、そのキャラクターになりきれるのである!!
震えが止まらない。
推理に費やす時間が結構かかってしまったが、俺は答えに辿りついた。
真理に辿りついたのだ。
とりあえず、持ち物検査。
持ち物検査をすれば、全てが解決する。
そんな気しかしない。
山田先輩が背負っているリュックのハシから、なにやら衣服のような物が
はみ出していたのをファミレスで確認したが、あれではない彼では無い。
現状カバンを持っているのは、
魚仁美
斎場彗
葉向匠
山田先輩
の4名だけであるが、葉向さんの持つサイドバックに入っているとは思えない。
故に除外する。
魚仁美
斎場粋
山田先輩
そして・・・・・内2人の能力は 断・定・済・み!!!!
俺は斎場彗に近寄り――――、
皆まで言うまい。
なので俺は道中、”斎場彗の表情”しか記憶に残らず、気づけば河川敷に
到着し、誰の能力がどれかという結論を導き出す事ができないのだった。
のちの話ではあるが【墨汁並みに黒くなる】の担当の能力者から、
「だったら今でも黒いままだし、着ぐるみ姿のはずじゃないか」
なんて完全論破され、震えが止まらなかった。
世の中には膨大な人数の人間がいます。
火の魔法の中に、火を消す魔法を取り込んだ物語の作者はいるかもしれない。
いや、いますよね?単純に俺が知らないだけって事で進めています。
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