『大した事のない非日常を持った我ら!』
一通り自己紹介と勧誘の辞退も行った所で、なんと!!
ぷっつり会話が途切れ沈黙がやってきていた。
なんで俺を勧誘したのか知らないが、
津崎の話を信じるのであれば、この集まりは指から火が出るのが
普通であるような奴らが集まる団体のはずだ。
そして、学校での話を思い出す限り、
【水を出せる】
【下から上に風を起こせる】
【髪の毛から砂が出る】
【カバンから砂が出る】
【頭から光を放てる】
【墨汁並みに真っ黒になる】
なんだろう、本当かどうか知らないけども全く役に立ちそうに無い。
だが、普通ではない。
いや・・・・・良く考えたら2つくらいいけるような気もするが、
ここにいるメンツは、彼らが名乗っているようにWe with the・・・・・、
大した事ではないが非日常を持った奴らなのだから。
とりあえず、これだけの人数がいて沈黙をいつまでも続けるのは
俺がいくら外様だとはいえ、苦しい。
俺が話を終わらせたのだ。
ここはこちらから話を振るべきであろう。
と、そこまで思考した上で、非常に気になる部分である、
「誰がこの通称とやらを?」
というか通称って言葉間違ってません?まで付け加えようともしたが、
とりあえず意見を聞こうじゃないか。という結論にいたり、質問をしてみた。
「エキ○イト翻訳よ!!」
「イェキサ=イントゥRe:コーデッド・・・・秘義【メタモルフォーゼ】」
「エキ○イト翻訳だぜ!!」
「エキ○イト翻訳です」
「エキ○イト翻訳ですね」
「エキ○イト翻訳だよ」
山田先輩はほっとくにしても
なんだろう、凄く納得した。
元ネタは「大した事のない非日常を持った我ら」なのだろう。
俺の英語力は高いとは言えないが、どことなく無理しているだろうと、少し
感じていたのだ。
津崎の方はえ?そうなの?みたいな表情していたが、お前知らなかったのか。
だが、やはりつっこまざるえない・・・・葉向さん・・・あなたが居てなぜ・・・なぜ!
なぜ!エキサ○ト翻訳なのか。
日→米という画期的なあれは、一度逆にして、さらに逆にしたら
原型すら留めていない事だってあるというのに・・・・・、
何故人間はこうも楽な道を辿るのだろう。
かくゆう俺も宿題の中であれを使った為に、酷い目にあった事がある。
ひと時の間、渾名がエキサイトになる程級友にからかわれたものだ。
今も偶にフラッシュバックがあり、布団の中でああああああああああああとかする
そんな思い出である。
まぁ俺の黒歴史はさておいて、
葉向さんの頭脳であれば直訳とか単語を並べるだけとかではなく
普通に作ってしまえるのではないのか、と。
そんな意味をこめた視線を葉向さんに送った。
ぎこちなく笑われただけだった。
決定権は彼にないんだろうな、と察する事ができただけだった。
「兄ちゃん入ってくれないのか!?人数が増えたらもっと楽しくなるぜ!?」
愁くん・・・とても気持ちは嬉しい。
が、最後辺りにごにょごにょと、おごってくれる年上の人数が・・・
みたい事が聞こえたのは俺の気のせいだと思っていいんだよね?
「せっかく来て貰ったんだ。津崎君のお友達に僕達の能力も紹介しよう」
そんな鶴の一声を葉向さんが切り出した。
正直ありがたい。
何気なく突っ込んだ通称の事はスルーされ、ちょっと話がそれたと思ったら
談話する雰囲気が流れたのだ。
津崎は津崎で魚にベッタリで、
斎場兄妹はドリンクバーでのカクテルについて熱く議論中。
山田先輩はなにやら降りてきたらしく、スマホを物凄いスピードで
ピコピコと弄り倒し、それらを笑み絶やさず見守るシスターがいる。
あまりの俺の取り残されっぷりは、トイレに行くふりをして帰ろう。
そんな計画の実行段階まで踏み込む直前だったのだ。
「津崎兄ちゃんの友達の為だもんな!!」
と、やる気を出しているのは愁君だけであり、他のメンバーはそこまで乗り気
でないようではあるが、気にしないでおこう。
「しゃーねーなー!!いっちょ見せてやりますか!」
と、津崎が立ちあがり、颯爽と筒からレシートを取り出していた。
「え?ここで見せてくれるんじゃないの?」
「何言ってんだ?ここで実演なんてしたら店の迷惑になるだろう?」
津崎が至極まっとうな事を言っている。
もしかしたら、新しい能力なのかもしれない。
なんて個人的にざわざわしていると、さらにこう一言小声でつけたしてきた。
「ごめん、金貸して」