ペットボトルの二人の『水』
明日のサークルの集まり、駅での集合……。あたしはあの人にだけ集合時間を1時間早く伝えた。思いを伝えたくて……。
あたしは、その嘘の時間より前から待っていた。暑い日。小さい駅、屋根なんかほとんどない。ペットボトルの水が欠かせない。
嘘の時間、過ぎたけどあの人は来ない。本当の時間、ばれちゃったかな、と思った時、あの人が走ってやって来た。
「はぁはぁはぁ、わりぃ、遅れた……あれ?」
その必死な姿を見てすぐに、
「ゴメンなさい、ホントは1時間後なの」
と平謝り。
「はぁはぁはぁ……そっか、じゃあ、ちょうどよかった」
そう言うとあたしの持っていたペットボトルを奪うように取り、一気に半分飲んだ。
そして、呆気に取られているあたしにそれを返しながら、
「オレ、お前が、好きだ」
……と。あたしも残り半分を一気に飲み干して言い返した。
天宮奏様、依様の『口説かれろ企画』(http://ncode.syosetu.com/n4480br/)に参加しようとして書き始めたのですが、10キーワードも無理でした。そんな作品。