ミステリースポット
部活の小説です。自由に見てください。
ギィと歪な音をたて足下の板がきしむ。
「さすがに・・・・・・これは怖いな・・・・・・」
「・・・・・・確かに、怖い。怖いけど・・・・・・」
「怖いけど?」
「何かある度に奇声をあげるお前の方が100倍怖ぇ!」
ももちたくみ
雨の音が響く校舎に少年―百道巧実―の叫び声が反響する。
「っ~。う、うるせぇっ・・・・・・。仕方ねぇだろ!?雰囲気ありすぎなんだよ!」
「奇声だけならまだいい!なんでいきなり高笑いしだすんだよ!?しかも俺の服がっちり掴んで!つかお前が発案者だろうが!」
「俺だってここまで怖ぇとは思わなかったんだよ!」
「逆ギレ!?ふざけんなよお前!?」
「うっせぇ!そもそもだなぁ―」
後ろでギャーギャー騒ぐ親友を無視して、ぽつりと呟く。
「あーもーっ。何でこうなったんだよ・・・・・・」
―数時間前
「というわけで、来たんだが」
いつきせいいち
百道巧実は校庭のサッカーゴール前に立っている親友―逸輝誠一―に話しかける。
「何がというわけでなのかは知らんが、来たな!?」
既に校庭には20人弱の生徒が集まっている。
「で、これなんぞ?つか、何で校門あいてんの?そこんとこkwsk」
「まぁ、それはおいといて。今から始めるし、ちょい待っといて!」
「おいといちゃダメだろ」
「大丈夫だ、問題ないーー!」
ネットスラングを言い放ち、親友はどこかへ行ってしまう。何であんなテンション高いん?校庭をぶらつくこと数分、校庭の真ん中から声が聞こえた。
「みなさーん!今から説明を始めたいと思いますので、集まってくださーい!」
がやがやとみんなが集まる。その中心に立つ誠一はどこか、うきうきしているように見える。
「えー、今回皆さんに集まっていただいたのは、夏休みももう終わりということですので肝試しをしたいと思い、集まっていただきました!」
「どういうことだ?」「大丈夫なの?」などという言葉かそこらかしこから聞こえてくる。うん、俺も全く同意だ。
「皆さん、安心して下さい!先生にこのことを話したところ、快く了承してくれました!」
おおーっ。ノリのいい男子連中が声を上げる。先生・・・・・・そこは止めて下さいよ・・・・・・。誠一は課題を全くやってないんですから・・・・・・。
と、一人で独白しつつ手を挙げる。
「はい!そこの巧実サン!」
「テンション高いな。ま、いいや「流さないで!」うっせぇ。どこでやるんだ、その肝試し?」
「ノーーーッ!!ノット肝試しバット第1回チキチキ肝試し大会!」
「何でもいいから場所教えろ。つか、結局肝試しじゃねぇか」
「そんな生意気なことを言う巧実クンには教えてあげませーん」
「へぇ・・・・・・」
さすがにイラッときたので、携帯を取り出し電話帳から逸輝の名前をコールする。
prrrr
『?はい、もしもし』
『よう』
『何だよ切るぞ』
さすが親友、一言で誰か分かったようだ。だが切って貰っちゃ困る。
『まぁ、待て』
『?』
大きく息を吸い込む。いくか。
『おい、なんだ―』
『7月7日の午後8時七夕祭りが終わり―』
「すいませんしたっ!自分調子乗ってました!だからそれは勘弁して下さい!」
通話終了してマイクで謝ってくる。近所迷惑だ、やめろ。
「で、どこでやるんだ?」
「きゅ、旧校舎です!」
「いや、別に敬語じゃなくていいぜ」
「言わないか?」
「言わない」
無言で握手をすると、周りから拍手が巻き起こる。ノリ良すぎだろお前ら。
「はーい!というわけで今からルールを説明したいと思いマース!」
・・・・・・ほんとテンション高ぇな・・・・・・。
「ルールは簡単、まず最初に驚かす側と驚かされる側に分かれます!基本どっちに行くかは自由ですが、あまりに偏っていたりするとこっちで調整します」
どっちに行くか自由と言われ周りが騒がしくなる。主にアベックなんかは驚かされる側のようだ。
え?アベックとか古いって?うるせぇよ、俺はナウでヤングな若者だっつうの。
みんなが少し静かになったのを見計らって、誠一が続ける。
「とりあえず、決まった人から驚かされる側は―」
ここから、2つに分かれるようだ。さて、どっちに行くかね。
そうやって、悩んでるところに声がかかる。
「ヘーーーーイッ!マイベストフレンド、巧実よ!何か困ってないかい!?」
「うっせぇ、渡米でもしてろ」
「ちょっ。し、親友にその扱いは酷くないかい!?」
「だったら、落ち着け。イタい奴にしか見えん」
「えっ・・・・・・、マジで?」
「自覚無かったのか?」
「あぁ・・・・・・」
「まぁ、とりあえずどうしたんだ?」
周りを見るともう結構まとまっている。やばいな・・・・・・、そろそろ決めた方がいいか・・・・・・。
「そ、そうだよ!なぁ、俺と一緒に回らないか?」
「・・・・・・お前と一緒に驚かされる側にいくってことか?」
「イエス!」
・・・・・・五月蠅いだろうなぁ・・・・・・。まぁ、いいか。
「あぁ、いいぜ」
「ッシャーッ!あいつらの度肝抜いてやろうぜ、相棒!」
「いや、俺らは抜かされる側だろ」
「―なんて行ってたのは誰だっけ?」
「き、記憶にございません」
「お前だろうが!」
「ひぃっ、親友が般若に!?なんて会談だよこれ!」
「誰が般若だコラ!」
「じょ、冗談だよ冗談」
というわけで、現在俺たちは二階の教室にいる。
「あ~、後半分か~」
誠一が気怠げに言う。
「だったら戻れば?」
「いやいや、一人で戻るとかマジ勘弁して(べちゃ)うわっひょい!?」
「うぉぃ!?ど、どうした!?」
「いや、今なんか首筋に変なのが当た(べちゃ)うをぃひぁ!?」
「おいおい、なんだよ怖ッ!!!!!?」
「お前もか・・・・・・」
「あ~、俺も喰らったわ~」
「ちょっと手ぇ振ってみようぜ」
「おう」
すると、べちょ。
「ん?何か当たった」
「なんぞコレ?」
「・・・・・・?こんにゃく?」
「あ~なるへそ、これだったんか」
(あれ、でも俺さわってきたんだけど・・・・・・?)
「とりあえず、行こうぜ」
「ん?あぁ」
なんにせよ、また喰らったら嫌なので、ひとまず進むことにした。
「お、階段みっけ♪」
俺が上ろうとすると誠一に肩を掴まれた。
「?何だよ?」
「まて、恐らくここにはトラップが仕掛けられている」
「何だよそのキャラ。てか、まぁ、あるだろうなぁ」
「バカかお前!?トラップがあると分かっていて何で行く!?」
「いや、行かねぇと進まないだろ」
「他の道通ろうぜ」
「いや、階段ここしかねぇし」
「ちくしょーーーーっ!!」
とりあえず無視。
「あ、いや、ちょっ、待って」
「いいから来いよ」
「いや心の準備が・・・・・・」
「置いていくぞ」
「分かったよ、行けばいいんだろ!」
「何故キレられてんの俺?」
階段を上り(ちなみに後ろから襲われるという典型的なトラップに誠一はものの見事にはめられた)三階にでると声が聞こえた。
「うふふふ、遊びましょ?」
「なんか言った?」
「え、何も?」
「あれ、何か聞こえたんだけど・・・・・・?」
「空耳だろ?」
「?そうかねぇ?」
がたん!!
「「!?」」
後ろを見ると、机が二つ落ちていた。
「なぁ、旧校舎って何も無いんじゃ・・・・・・?」
「そ、そういえばな。ここってホントに出るらしいんだ・・・・・・」
かっ、かかっ!
「こ、今度は何だ・・・・・・?」
『一緒に遊ぼ?』
今時古い黒板には大きな字でそれだけ書いてあった。
「いやいやいやいや、マジで勘弁して欲しいわ~。笑えねぇって」
「ねぇ遊ぼ?」
「「!?」」
誰もいないはずの後ろから声が聞こえる。
「カウントするから逃げよう」
「もち」
「・・・・・・3,2,1・・・・・・0!」
「「うおぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「あ、鬼ごっこ?私鬼ごっこだーいすきっ」
「何!何で追っかけてくんの!?」
「しゃべるな!走れ!」
叫び走り、何分たっただろう。気付くと外にいた。
「はぁはぁ、逃げ切った・・・・・・?」
「・・・・・・多分」
「また遊ぼうねー」
「「ヒィッ!?」」
後日、旧校舎で昔死んだ小学生の霊がでるという噂が広まった