82. 二日酔い
82.二日酔い
ハコブは、次の日、食堂で目が覚めた。
床に寝ていて、なぜか毛布が掛けられていた。
その横では、椅子の上に寝ているリリーと、
少し離れた所に座っているグランツさんがいた。
「あ、目が覚めましたか。」
グランツさんに声をかけられる。
「昨日は、いろいろとすみません。毛布まで掛けてもらえて。」
「いや、アンヌさんが毛布をかけていましたよ。」
話を聞くと、アンヌさんが上半身を持ち、
リラさんが足を持ち、ハコブに覆いかぶさる様に寝ていたリリーをどけて、
苦しがっていたハコブさんを2人で助けたそう。
「そういえば、ドルクマさんとブランさんは?」
「帰りました。」
「リラさんは?」
「リラさんも、先程帰りました。」
グランツさんは、この様にリリーが飲みすぎて暴走した翌日、
極度の二日酔いで、いつも看病して、リリーの借りている部屋に連れて帰っていたとのこと。
ハコブは、グランツさん、本当に面倒見がいい、と思った。
グランツさんと話していると、アンヌさんがやって来た。
「昨日はなんというか、凄かったというか、災難だったわね。
鎧を着たリリー、重くなかった?」
「正直、鎧が当たって痛かったというか、酒の匂いがしたというか…。
忘れられない夜でした。」
「ははははは。」
アンヌさんは笑う。
「これ飲んで。」
ハコブはアンヌさんが、コップに水を入れて持ってきてくれて、
感謝しながら一気に飲む。
「大丈夫?」
「はい。」
「まもなく朝食の時間だけれど、ここで休んでいてくれても構わないわ。」
「ありがとうございます。」
「…ん…。グランツ?」
リリーが起きた様だ。
「大丈夫か?」
「ああ、あっ痛たたたた。」
リリーは頭を押さえている。
「寝ていても構わないそうだ。」
「ン…分かった。それと…」
リリーはハコブの方を見る。
「昨日はごめん…いや、ごめんなさい。
なんとなく、かすかに覚えている。
痛たたたた。」
「あの、良かったら、私が借りている部屋のベットで少し休むか?」
「いいんですか?」
グランツさんが聞く。
「ああ。」
頭を痛がるリリーを2人でそっと起こし、
2人で2階の部屋に運んでいく。
部屋に入ると、2人でリリーをベットに横にした。
「あっ、ちょっと水をもらってくるから。」
そう言い、グランツは部屋を出ていった。
部屋には、リリーと2人きりになった。
なんか、気まずい。
「…。大丈夫か?」
「ああ、…うれしかった。」
「え?」
「なんでもない。」
「…。」
「…。」
「今日はゆっくりと休んだ方が良いよ。」
「…。」
リリーは、赤い顔をしている。
部屋の外に階段を登る足音が聞こえ、
グランツさんが入ってきた。
「もう少し、2人だけの方が良かったかな。」
「え?」
「いや何でもない。」
リリーは上半身を起こし、グランツさんが持ってきた、コップに入った水を渡す。
「ありがとう。」
「リリー、今日はここで休んでいていいよ。」
ハコブはグランツさんと部屋を出た。
「あの、応援しています。」
階段を下りながら、グランツさんに言われる。
「いや、俺はもうおっさんだよ。そういうのは…。」
「リリーも独身だし、あのゲーリングさんだって、
45歳で、回復士の仲間と結婚したんですよ。」
ハコブとゲーリングさんは、同じ年だった。
「リリーも嫌がっていない様だし。」
「…。」
ハコブは、考え込んでしまった。




