75.ドリノ州の小さな町
75.ドリノ州の小さな町
ハコブは、今後運航するクレメント~ドリノの路線を確認するため、
ドリノに向かっていた。
ハコブ達が乗るバスは、ギムネ村を出て、沼地だった所を横に街道を進み、
沼の水を抜いたところを鉄板で補強し、進むと、大きな川があった。
この川には、石で作られた橋が架かっていたが、幅がガー〇で通れるギリギリで、
対抗側に荷馬車などがいないか、確認をしてから渡る。
ギムネ村が言うには、川を渡るとハイラ州から
ドリノ州に入り、その街道を進むと1000人位の小さな町、べスカーラがあるという。
その町は、クレメント交通商会の馬車が寄っていたということで、
つぎにその町を目指す。
石橋を渡り終えたバスは、太い未舗装路を、60㎞/h位の速度で走る。
ところどころ、歩いている人や、野菜や荷物などを運搬する荷馬車を見かける。
その横を気をつけながらバスで通過する。
やがて、畑と農家が点在する風景となり、
家が密集するべスカーラに到着した。
クレメント交通商会の馬車は、街道から少し入ったところの商店の前で、
人や荷下ろしをしていたそうで、その場所を探すと、
それらしいところを見つけた。
ガー〇が1台何とか転回できる小さな広場の前に、個人商店の様な店と、
隣に大きな白くて若干ピンクの花が咲いている気があり、その周りに石造りの家々がある。
「何の花だろう?」
「あれはマンファナの花で、赤い大きな果物よ。」
リラの説明によると、どうやら地球のリンゴに似た果実がなる木らしい。
「ちょっとあの商店の人に話をしてくる。」
ハコブはバスを街道の広い所に停め、
商店の方へ歩いて行く。
商店は店の前に野菜や果物、生活用品などを陳列していて、
1人の女性が店番をしていた。
その店番の女性に話しかける。
「あの、すみません。」
「いらっしゃい。」
「あっ、私はお客ではなくて、クレメント交通商会から、
路線を受け継いだ、フラン交通商会のハコブと申します。」
「ああ、そういえば、馬車、最近来ないわね。」
「実はギムネ村の街道で、溶解スライムに襲われる被害が出て、
馬車がやってこれなかったのです。」
「スライム話は聞いているわ。そうだったの。」
「そこで、今後クレメント~ドリノ間の路線を、あの新型馬車で、
我々が運行することになったのです。」
「そうだったの。そういえば、私の紹介がまだだったわね。
私はエルザと言うわ。よろしく。」
話を聞くと、この町での切符販売や荷物収集の代行を行っていたとのこと。
「運行商会が変わっても、私の所で、切符や荷物の取り扱いを行う、でいいんですよね?」
「はい、お願いします。それにしてもきれいですよね、この木の花。」
「ああ、ウチのシンボルの様な木だからね。
秋になったら、この機に大きなマンファナの実がなるので、
分けてあげるわ。」
「それはありがとうございます。」
エルザは、後ろのバスが気になる様で、
「見学してみますか?」
「いいのかい?」
「はい、案内します。」
ハコブはエルザを連れてバスの中に案内する。
「何、この乗り物?そういえば、クレメントの町に、四角くて、
カラフルで、馬車のいない新型馬車が走り出したって、聞いたことあるけれど、これ?」
「はい、そうです。我々はバスと呼んでいるんですが、このバスは62人乗りで、
もっと大きい物になると、95人乗りと言うのもあります。」
「へ~、そんなに?」
「はい。」
「椅子も快適そうね。」
「椅子を倒すこともできます。
後ろの人に声掛けして、OKもらえればですけれど。」
エルザは座席に腰掛け、リクライニングを実感する。
「すごい快適。頑張って切符を売るわ。どれくらいの頻度で運行するの?」
「毎日を考えていますが、天候によって、運休の日もあると思います。
ここの到着時間は、後ほど連絡します。」
「わかったわ。」
しばらくして、エルザは戻り、店番を始めた。
ハコブ達は、ドリノを目指し、バスを走らせた。




