6.異世界初の朝
6.異世界初の朝
翌日、ハコブはドアのノックの音で、目を覚ました。
(あっ、乗務が…、しかし、変な夢を見たな。
なんかゲームをしているみたいな…。)
ハコブはゆっくりと目を開ける。
(ここは…まだ夢の中か。古い家の木の屋根…。え?夢じゃない。)
「…お客さん、朝食ができましたよ。下の食堂に準備してありますから。」
ハコブはゆっくりとおきる。
(制服のままだな。上着は…あそこか。)
ハコブは椅子にかかっていた会社の上着を着て、1階の食堂へ行く。
「おはようございます。ハコブさん。」
振り返ると、宿の女主人であるアンヌさんが声をかけてくれた。
「おはようございます。食事はこちらに準備してあります。」
ハコブは食堂に入ると、自分の席に案内された。
「明日からも、こちらで、食事は準備しますね。」
とアンヌさんから案内される。
テーブルは窓際の2人席で、すでに定番?の黒パンとチキンスープ、
そしてオムレツの様な香草入りの卵料理が置かれていた。
(薄味だ。せめて、塩なんか欲しいな。)
と思いながら、ハコブは食事を平らげる。
食事が終わり、受付を通ると、アンヌさんがいる。
ハコブは改めて、病院…じゃなかった、治療院の場所を確認すると、
裏の空地につながるドアを出て、正面の建物、と改めて教えてくれる。
ハコブは、その足で、マルクさんや町長さんのお見舞いに行くことにした。
宿屋の裏口のドアを出ると、バスが止められているが、
馬車が牽引された状態になっているわけで、
後でマルクさんに牽引解除した馬車をどこに置けばいいか、
聞かなければならないな、と思った。
バスは…子供たちの遊び場になっていた。
バスをペタペタ叩く者、ドアを無理矢理開けようとするもの、
そして、どうやって登ったのか、バスの屋根に上り、遊んでいる者がいた。
ハコブは大急ぎで宿のアンヌさんにはしごを借りてきて、
バスに立てかけ、
「危ないから降りなさい。」
ハコブは大声で、叫ぶ。
しかし、子供たちはなかなか降りず、困っていたところ、
アンヌさんが外に出てきて、大声で
「コラ、ディミトリ、ウィル、リコ、早く降りなさい!」
屋根から降りる様、言うと、
3人はしぶしぶ屋根から降りてきた。
「ありがとうございます。」
とハコブはアンヌさんにお礼を言い、はしごを返してから、
治療院に向かった。