5.異世界初の宿屋
5.異世界初の宿屋
ハコブはバスを宿屋斜め裏の空地へ停め、
しっかりとドアを閉め、誰も入れない様にする。
そして、宿の裏口から、宿の中に入る。
中に入ると、受付の前で、50代くらいの女性に声をかけられる。
「あなたは新型馬車の人ね。町長とマルクさん、それと私の弟を助けてくれてありがとう。」
「町長?弟??」
この女性は話を聞くと、宿の女主人で、アンヌさん、弟はあの腕を骨折していた男性で、
20代と思っていたが、40代らしい。
ハコブは改めて、外国人?異世界人?の年齢は一目見ただけではわからないものだと思った。
彼は、隣町のクレメント町に住む、同じく宿を経営する叔父が亡くなったので、
あの馬車で出かけていたらしい。
それと町長は、あの中年の茶髪の女性ということで、改めて驚いた。
「弟を救ってくれたので、2週間はここに無料で泊まっていってちょうだい。」
とありがたい誘いを受ける。
ハコブはこの世界のお金を持っていなかったので、ありがたいと思った。
「それと、あなた、身分証明がないんでしょう?門番に言われなかった?」
「身分証?」
「そう、宿に泊まるとき、身分証は見せるルールだけれど…。」
「ハイ持っていないです。この国の外から来ましたので。」
「じゃあ、ギルドで発行してもらわなきゃね。」
「ギルド?」
「そう、冒険者ギルドか、商業ギルドか、医療ギルドか…。」
「そうなんですか?」
「ええ、でも、冒険者ギルドが良いんじゃないかしら。
あなた、弱そうだから、移動中にゴブリンに襲われたことを考えて、冒険者ギルドは護衛を頼めるから。」
「そうですね。明日行ってみます。身分証は…。」
「明日で良いわよ。」
その後、アンヌさんから部屋の鍵をもらい、2階に準備された部屋に行ってみる。
(質素な木製のベットに、ランプが1つ、机が1つの部屋か。
トイレは、向かいの共同トイレって、言われたな。
それとこの桶は何だろう?)
この桶の用途は後でわかった。
宿の使用人がお湯と布を持ってきてくれて、
そのお湯を入れる桶だったのだ。
要は、布をお湯で絞って体を拭く、が正解だった。
後で、トイレも確認したが、
木の椅子の中央に大きな穴が開いており、
いわゆるぼっとんだった。
(異世界は…大変だな。)
ただ、宿で出される食事はおいしかった。
暗くなり、宿の使用人が再び食事の時間と伝えに来てくれ、
1階の食堂に行くと、ボアの肉のカツレツと、
キャベツ?の盛り合わせ、そしてチキンスープと黒パンが出た。
食事が終わり、ハコブは部屋に戻ると、
ベットに横になった。
(異世界か。ステータスを開けたりして。)
ハコブがそう思うと、頭の中にステータスとメッセージが浮かぶ。
(え?何これ??)
LV6、力や防御力、素早さ、うん、HP、MP等、RPGらしい値があるが、
気になったのは、そのあとのメッセージ。
>3つのスキルを習得しました。
・乗り物修理LV1
・材料生成加工 LV1
・燃料補給LV1
(え?)