56.バレット~フラン路線初運行
56.バレット~フラン路線初運行
「君は凄いね。3匹のワイバーンを討伐したと思ったら、峠の旧道を復旧させるなんて。
君は律儀だから、報告に来ると思って、家族と一緒に待っていたよ。」
と、ロラン侯爵が言う。
ロラン侯爵に、妻のフランシスカ、息子のジョゼット、娘のアンジェリーを紹介される。
「早速明日から、フランまでの路線を開通させるんだって?
家族で初便に乗ってみたいと思ってね。バスと言う乗り物に。」
「私とリリーで、バスを運行いたします。1台を侯爵様専用のバスと言うことでよろしいでしょうか?」
「そうだね、安全のことを考えて、その方が良いだろう。」
行程は、明日バス2台体制で運転をし、フランで一泊、翌日、バレットに送り届けることになった。
その後、侯爵たっての希望で、バス、ガー〇の見学をする。
たくさんの正面を向いた椅子や運転席、床下の荷室等の説明を行う。
「すごいな。でも、わが領では、こうした駅馬車が走っているだけでも、
他領へのけん制になる。」
「?」
「いや、何でもないよ。」
「侯爵、1つ問題があります。」
「問題とは?」
「このバスを運転できる御者が圧倒的に足りません。」
「では、ゴードンを通して、募集をかけるとよい。私からも後押しする。」
その様な話をした後、侯爵邸を後にした。
その後、町の外に出て、リリーに大型のバスである、
ガー〇の運転を特訓し、車両感覚と操作を学んでもらった。
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翌日、午前中は、リリーにガー〇の運転の特訓をし、
13時にリリーは東駅馬車乗り場へ、ハコブは1時半に侯爵邸へそれぞれ向かう。
ハコブの方は、侯爵邸でロラン侯爵、妻のフランシスカ、息子のジョゼット、娘のアンジェリー、
それとセバスチャンとお付きの護衛兵士、荷物をバスに乗せる。
「あっ、ここに冷蔵庫、いや、飲み物が入っていますから、ご利用ください。」
とハコブが言う。
侯爵は、冷蔵庫のふたを開け、透明のペットボトルに入った水を取り出す。
「こうやって、蓋を回すと、水を飲むことができます。」
ハコブが説明をする。
「冷えているのだな。」
「そうですね。この箱の中は常に冷たくなっていて、冷たい飲み物がいつでも飲めます。」
「すごいな。私の馬車にもほしい物だ。」
ロラン侯爵が感想を述べる。
バスは、何人もの屋敷の使用人に見送られ出発する。
「すごいな~。こんな大きなものが動いている。」
「このバス、広いわね。」
と、ジョゼットとアンジェリーが感想を述べる。
リリーの方は乗客と、ドルクマ、リラ、そして彼らの引越し荷物も含めた、
乗客の荷物を載せる。
そして、ハコブの運転するガー〇が、東駅馬車乗り場に到着した時点で、
2台のバスが、フランに向けて出発する。
門番は、侯爵が乗っていると気づくと、一斉に敬礼をする。
そして2台のバスは、街道を走り出す。
街道は60㎞/h程の速度で走る。
侯爵一家は窓外の景色を見て、とても速いと感動する。
通常馬車では、25㎞/h程の速度で走るようだ。
バックミラーを見ると、リリーの運転するバスも付いてくる。
そして、旧道の入口に差し掛かる。
「侯爵、ここから少しの間、道を硬い平らな物で舗装しておりまして、
120㎞/h出します。馬車の5倍弱のスピードですね。」
ここからしばらくの間、若干平たんな道が続く。
舗装もしてあるので、速度を出し、デモンストレーションをする。
ハコブは徐々にスピードを上げ、バスは120㎞/hに到達する。
「こんなに早い乗り物でもあったとは。」
「あなた、少し怖いわ。」
「うわー、景色が流れていく。」
「楽しい。」
侯爵家族が感想を述べる。
舗装した道では、なぜかモンスターが出てこない、
ハコブはその事実に気づいていた。
もし、モンスターが出てくる場合、この速度で激突するのは、
危ないので、速度は出さないが、そのことを理解した上で、
速度を出した。
後続のリリーの運転するバスも、120㎞/hでついてくる。
12㎞ほど進むと、カーブと傾斜が多くなるため、
ハコブは速度を落とす。
「侯爵、ここからは、道の傾斜とカーブにより、
速度を安全のため、落とさせていただきます。」
「うむ、分かった。」
先程の120㎞/h運転とは異なり、40㎞/h程で進む。
バス2台はバレット峠を登っていく。
道が細くなるところは20㎞/hに落とし、
やがて峠の頂上に到着する。




