4.門番との会話
4.門番との会話
バスが木の塀に近づくと、
それは、町を覆っている塀であることがわかり、
扉が閉まっている状態だった。
バスをしまっている期の門の前に停める。
すると、門の両脇の監視塔に町の門番と思われるものが上がってくるのが見えた。
「お、お前らは何者だ?」
その門番が質問をしてくる。
門番の1人がボウガンを構えて下り、外に出ることはできない。
ハコブはバスの車外スピーカーをONにし、
「私はこの町から、クレメント町へ行く馬車が襲われているのを助けた。
その馬車をここまで引いてきたんだ。バスの後ろを見てくれ。」
と伝える。
「バス?」
「ああ、この新型の馬がいらずに走る馬車だ。」
門番はバスの後ろの方を確認する。
「本当だ。今日の朝出発した、マルクの馬車だ。」
「御者等、5人の生存者がいる。」
「わかった、今門を開ける。」
門番はそう言うと、監視塔を降り、木の扉を開けた。
ハコブはその様子を確認し、バスと牽引する馬車を門の中に入れた。
バスと馬車が中に入ると、先程の門番は再び木の門を閉める。
バスと馬車は、門番の指示により、この門から町に少し入った広場に誘導されることになった。
広場に到着し、バスを止める。
そして、ハコブはバスを降りる。
町は木造の家が多く、2階建ての家もちらほらとあった。
ただ町の中の道は泥道だった。
ハコブはバスを降りてすぐに町人が集まってきて、
馬車の中を確認する。
そして、町人の誰かが持ってきた担架で、けが人を運んでいく。
「マルクにとっては、あなたは命の恩人だな。
それにしても、これは何だい?
新型の馬無し馬車と言っていたが。」
先程の門番が話しかけてくる。
「私は鍛冶師で、新型の馬車を開発し、その能力を確認している所で、
あの馬車の襲われている所に出くわしたんだ。」
と、ハコブは答える。
「そうなのか。あ、俺はカイル、よろしくな。」
カイルは手を出してくる。
ハコブも手を出すと握手をしてきた。
「ところで、マルクさん達、病院に運ばれたんですよね。」
「病院?この町にあるのは治療院だ。病院の様な大きな施設は王都にしかないよ。」
「王都?!」
ハコブは思わず大きな声を上げてしまった。
やっぱりこの世界は異世界だとハコブは悟った。
「?どうしたんだ?」
「いや、あとで、治療院の場所を教えてくれないか?
マルクさん達が心配で、お見舞いに後で行こうと思って。」
「それなら、あの宿屋の裏側だ。」
「ありがとうございます。」
「…それにしても、変わった服と髪の色をしているな。」
「私、この国の外からやって来たもので、新型馬車の材料を探してこの国に来たんです。」
ハコブはそう言うことにした。
「じゃあ、今日は宿に泊まってゆっくりした方が良い。」
「この新型馬車、ここに停めといていいですか?」
「この宿の斜め裏側に、駅馬車を止めておく空き地がある。
そこに停めればいい。」
「何から何までありがとうございます。」
「いや、どうってことないさ。
俺は、たいていあの門の脇の詰め所にいるから、
分からないことがあったら、いつでも来てくれ。」
「ありがとうございます。」
ハコブは、門番のカイルと話し終わった後、
バスの周りに集まる町人に新型馬車が動くので、
移動するように言い、
バスに乗り込み、カイルの話していた空地へ移動する。
「それにしても、町の中の道、狭いなあ。」