43.バレットまでの道のり
43.バレットまでの道のり
それから2週間後、フラン~クレメント間のバス運行は、フランさんに任せて、
ハコブ、リリー、マルクさん、ドルマンさんの4人で、バレットに向かうことにした。
話を聞くと、5時間半かかるらしい。
バレットに向かうバスは、朝7時に出ることにした。
ハコブは駅馬車乗り場にバスで向かうと、
事務所からマルクさんとエリスさん、クレアさんが出てきた。
「気を付けて行ってきてくださいね。」
「無理しないでね、マルク。」
「ああ。」
しばらくすると、ドルマンさんと、リリーもやって来た。
「よう、待たせたな。」
「リリー、たとえ戦士と言え、もっと女らしい言葉を使わないか。」
リリーはドルマンに注意を受ける。
4人は、バスに乗り込むと、フランの町を出発した。
門の所に来ると、カイルがいた。
「おう、ハコブ。今日は早いな。」
「今日は、ロラン侯爵に会いに、バレットに行くんだ。」
「話は聞いている。失礼の無い様にな。」
バスは門を出ると、いつもの様に快調に走る。
坂道を上る区間に差し掛かると、
いつものゴブリンが出てくる。
ハコブは、いつもの様に倒していく。
しばらくすると、この世界に初めて来た広場の前を通る。
「実は、この道が使えれば、バレットまでの距離は半分なんだがな。」
マルクが言う。
「え?」
「ああ、この広場の先に旧道があって、狭く曲がりくねった道があったんだ。
ただ、崖崩れが多く、ワイバーンの出現率が高かったので、
今では、クレメント近くの道を分岐、迂回して、バレットに道がつながっている。」
「そうなんですか。」
バスは峠を越え、いつもの山道を下る。
道を下ると、クレメントまでの直線の道になる。
いつもはこのまま、クレメント町に行くが、
今日は右に曲がり、バレットに向かう。
初めての道である。
道は谷間の木が生い茂る道となり、川が寄り添ってくる。
道にはところどころゴブリンが現れる。
ただ、ここでは、ハブゴブリンという、
普通のゴブリン以上、メイジゴブリン以下の、
少し大きな褐色の肌のゴブリンが出た。
ただ、倒し方はいつもと同じ、
バスとぶつかる方法で倒す。
たが、個体が大きいので、毎回フロントガラスにひびが入る。
その都度、ハコブは、能力で治す。
道は緩やかな登りとなり、峠を越える。
そして、下り道になる。
「先程話した、旧道はここにつながる。」
とマルクさんが話す。
バスを停めてみると、
道は胸位の高さの草におおわれていた。
「ここですか。」
「ああ。昔は私の商会も、この道を使ってバレットとの定期便を持っていたのだが。」
とのこと。
マルクさんにバレットの交通事情を聞くと、
8年前に新興の交通商会、バレット交通商会がバレットにつながる路線すべてを独占したらしい。
「その時、侯爵は何とも言わなかったのですか?」
「あの時は突然だったからな。今の侯爵の父親が決めたことだ。」
と話す。
ハコブは大人の事情がその時あったんだろうと思った。
バスは、この旧道との分岐点から30分もかからずに、
盆地にある、バレットの町に到着した。
侯爵の屋敷がある街らしく、
町は運河と城壁に囲まれており、
この道は運河を渡る橋と門につながっていた。
いつものごとく、町に入る為、荷馬車や駅馬車、人の行列ができていた。




