34.ハコブ、再び教官をする
34.ハコブ、再び教官をする
翌日、ハコブは朝からバスの運転を、マルクさんとクレアさんに教えることになった。
駅馬車乗り場の転回場で、初めにバスの出庫までの流れと、
操作方法(ハンドル操作とアクセル、ブレーキ、ATシフトの切り替え等)教える。
2人は、ハコブがエリスさんに上げた手帳とボールペンを使い、メモを取っている。
それから、2人に実際に乗ってみて、ハンドルやペダル、シフトの操作方法を実際に体験してもらう。
何回も急ハンドル、急加速、急ブレーキは避ける様、ハコブは言っていたので、
リリーの様な、無茶な運転は2人共しなかった。
「馬の手綱でのコントロール方法とは全く違いますね。足で、加速と減速を操作するのも、
徐々に慣れてきましたよ。」
とマルクさんは言う。
クレアさんも、今まで馬の手綱を握って操馬をしていたせいか、
はじめはハンドルさばきなど、ぎこちなかったが、
少しづつ慣れてきた。
「それでは、もう少し速度を出して運転してみましょう。」
ハコブは次に、町の外で運転の教習をすることにした。
いつものように門の所で、カイルさんが、
「今度は、マルクさんとクレアさんに、操作方法を教えるのですか?
行ってらっしゃい。」
と言う。
ハコブは、バスを60㎞/hまで出す様、マルクさんに言う。
「こんなに早く、走ることができるとは。」
とマルクさんが、速度を出して驚く。
隣でメーターを見ながら、クレアさんが、
「先程教えてもらったメーターと言う物に、
140って書いてあるけれど、そのくらいスピードを出せるんですか?」
と聞いてくる。
「ここでは泥道で、そのスピードを出したら、バランスを崩し危険ですが、
平坦でなめらかな硬い道だったら、可能です。」
と答える。
「そうなんですか。リリーには教えたくないことですね。」
とクレアさんが言う。
ハコブは、一瞬リリーが140㎞/h出して運転しているシーンが思い浮かんだ。
その後2人は、今まで馬車を操馬していただけあって、上達が早かった。
クレアさんは、その後、いくつか質問をしてきた。
「これは何ですか?」
「燃料メータです。」
「燃料メータ?」
「この乗り物は、油で走るのです。
油と言っても、料理に使う油、ランプに使う油などありますが、
このバスは、そういった油で動くことはできず、違う種類の油で動くのです。
この油は、私の能力で給油します。」
「能力で給油?!」
運転しているマルクさんとクレアさんが驚いた。
「魔法を使うのと同じですよ。私はフアイヤーボールや、アイスニードルは撃てませんが、
この乗り物の給油を魔法ですることができます。」
そういうことにしておいた。
「稀有な能力ですね。考えればこのバスと言う乗り物も。」
「そうですね。」
「この話は大っぴらに話さないようにしましょう。良いね、クレア。」
「はい。」
クレアさんが返事をする。
結局この日は夜遅くまで、運転の練習を2人がし、
ハコブは近くで教官をすることになった。
また、夕食が遅くなり、アンヌさんに怒られたのは、
2人に内緒にした。




