30.訓練車
30.訓練車
翌日、ハコブは朝食をとるため、宿の階段を降り、受付に来ると、
リリーとグランツさんが待っていた。
「じゃあ、バスの運転の練習を始めましょうか?」
「リリー、まだハコブさんが朝食を取っていない様だから、
ここで待ちましょう。」
ハコブは大急ぎで朝食を取り、
2人と町の外に行く。
門の所には、カイルがいた。
「バスの運転練習をしに、これから町の外に出るんだ。」
「?」
「新型馬車の事です。この馬車のことをバスと呼ぶことにしたんです。」
「ああ、そうですか。頑張って。」
カイルに見送られて、町の外に出る。
まっすぐな森林に囲まれた幅広い直線の道が続いている。
いつもバスで通過していたので、自分の足で、ここを歩くとなると、新鮮な気持ちになる。
「よし、バスを出すぞ。」
ハコブは1台のポン〇ョを出す。
「2人で交互に運転する。危なくなったら、私がサポートする。」
ハコブ達はバスに乗ると、方向幕を『訓練車』にする。
(この世界の言葉で訓練車って出ている。)
ハコブは軽く驚く。
はじめにグランツさんが運転する。
昨日少し転回場で運転したものの、
この時点で彼は滑らかに運転することに、ハコブは驚いていた。
(呑み込みが早いな、グランツさん。)
時速70㎞/h位になっても、安定して走れるし、
道のUターンもゆっくりとだが、こなすことができた。
次にリリーに運転を代わって、教習を始める。
ATなので、MTの様なギアチェンジをしなくていいのだが、
突然の急発進と、急ブレーキで思いっきりバランスを崩す。
「リリー、危ないじゃないか。」
「いや、この乗り物がどれだけ機敏か、試してみたかったんだ。
もう大丈夫。」
その後、リリーも加速し、運転するが、泥道で100㎞/h位出している。
車体がガタガタ揺れている。
「リリー…出しすぎだ。…スピードを落とせ。」
バスはスピードを落とす。
「結構速く走れるんだな。」
「この道で速度を出すのは、乗っているお客様にとって危険だし、不快だろう、大きく揺れて。
速度違反だ。」
「速度違反、スピード出せるのに。」
「私の以前た所では、速度の出しすぎは、罰則があったんだ。」
「そうなの。わかった、お客様商売だものね。」
その後、リリーの運転も戦士だけあって、機敏でスポーティーな運転だったが、
難なく運転をこなした。
その後2人に、深夜近くになるまで、交互に運転を教え、以前いた地球で、
ここまで短期間に上達する人はいない位の才能を見せ、
1日で、そうとう上達した。
ハコブは宿に帰った時、今日もアンヌさんに合わせる顔は無かった。




