2.緑の生き物
2.緑の生き物
ハコブはバスを緑色の生き物に襲わている馬車に近づける。
ギャー、グギャー、
馬車を襲っていた緑色の生き物は、動物の毛皮をまとっていて、
明らかに人間ではなかった。
こちらを見つけると、3体向かって走ってきた。
(な、なんじゃーこりゃー?!)
ハコブは怖かった。
こんな生き物、初めて見る。
その生き物はバスの所についに到達し、持っていたこん棒の様なものでバスをたたいてくる。
?!
ハコブは慌てて、バックギアに入れ、バスを後退させる。
その場所が広くまっすぐだったのが幸いし、時速20㎞/h位で後退する。
すると再び緑色の生き物との間に距離ができる。
(あれは、動物でもないな。このままでは殺される。)
そうハコブが考えた時、再び緑色の生き物がこちらに向かってくる。
ハコブは再度ギアを前進に入れ、急加速し、ギアを切り替えていく。
急速に緑色の生き物との距離が縮まり、
3つの大きな音と共に、3体の緑色の生き物を跳ね飛ばし、
バスで轢いていく。
ハコブは悟った。
ここは日本ではないと。
バスをしばらく走らせ、止め、最後方の座席から後ろを確認すると、
起き上がることなく、緑の生き物が倒れていた。
(また襲ってくることは無いよな。)
5分位バスの中で、3体の動かない緑色の生き物を確認した後、
ハコブは、バスを襲われていた馬車の近くに寄せる。
そして、バスの前方ドアを開け、降りて、
その壊れた馬車を確認する。
馬車は8人乗り程度の大きさの馬車だったが、
木の格子窓等、至る所が破壊されていた。
御者席には誰もおらず、馬もつながっていなかった。
というか、馬をつないでいた、ベルトが切られていた。
ハコブは恐る恐る、馬車の中を確認したところ、
1人の50代くらい?の金髪の髪をした男性が、頭から血を流し、大けがをして座っており、
その隣では、20代の金髪の女性が気絶して、馬車の床に倒れていた。
あと、
灰色の長髪の中年の男も怪我をし、座席に座っており意識が無い状態。
その隣の中年の茶髪の女性も、うめき声を上げ、痛そうにしている。
それと、20代くらいの赤髪の長い男性もうずくまり座っており、
片方の腕が変な方向に曲がっていた。
馬車に乗っていた乗員はこの5名だったか、いずれも中世ヨーロッパで着られていたような服を着て、
怪我を負っていた。
「大丈夫ですか?」
ハコブは思わず、声を上げて確認をしようとした。
「だ、大丈夫だ、乗客は無事なのか?」
50代くらいの金髪の男が聞いてくる。
え?日本語で答えが返ってきたのは予想外だった。
「い、生きているようです。」
ハコブは、金髪の男の質問に返答した。
「そうか、私は血液で目が良く見えない。」
ハコブはよく見ると、金髪の男は、頭から流した血が、両目に入り、
手でこすった後が確認できた。
「わ、私も大丈夫だ。ゴ、ゴブリン共は?」
「へ?ゴブリン?」
ハコブは思わず、腕が折れ曲がった男に聞き返してしまった。
「3匹いただろう?」
「それなら私が倒しました。」
ハコブは答えた。
「倒した?それは良かった。」
腕の曲がった男はその言葉を言うと、気絶した。
現時点で、会話の成立するものはその2名だった。
(ど、どうしよう、この状況。)