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26.メイジゴブリン

26.メイジゴブリン


バスは、折り返し、フラン町に向けて走り出す。

町を出るころには雨もやみ、道がところどころぬかるんでいる。


ハコブは速度を落として、運転する。


ハコブは1つ気づいたことがあった。


雨が降り、道がぬかるむと、荷馬車は少なくなり、

街道の脇に寄せて、道が乾くのを待っている。


そんな中、このバスは快調に走るので、

荷馬車の御者はその様子に驚き、こちらを見ている。


その常識は一般的なのか、乗客は、雨上がりの街道の車窓を、

興味津々に見ている。


「改めて、凄いなー、この新型馬車は。」


運転席近くのドアの床に座っているリリーが話しかけてくる。


「この新型馬車だって、ぬかるんだ泥道にはまって走れなくなるよ。

ただ、今までの馬車と違い、タイヤ…車輪幅が広いからね、

それと、対策もあるから。」


その会話の後、峠の道に差し掛かる勾配の手前で、バスが泥道にスタックする事態が起きた。


ハコブは制服を脱ぎ、前のドアを開け、積んでいたスコップとバケツ、砂利を取り出した。


そして、水たまりができていた通りに溝を掘り、

水たまりの水を通りの端に流す。

10分くらいすると水がはけてきたので、

タイヤの前に砂利を撒く。


そして、ハコブは泥だらけになりながらも、

運転席に座る。


「これで、ハンドルを路盤の少し固まっている左側に少し切りながら、脱出だ。」


ハコブはギアを1速にし、ゆっくりとアクセルを踏み、

うまく、スタック状態にあったバスを解放した。


「ハコブ、私たちは雇われているから、次からは今のようにやるよ。」

リリーは答える。


帰りの坂道は、雨が止んだからか、溶解スライムは出てこなかった。

グランツさんは、前方を警戒しているが、何も言わない。


やがて峠の頂上付近になり、路盤が砂利道になり、雨の降った直後の泥道からは解放された。


「これで少し速度を巻き返せるぞ。」


バスは順調に下り道を走っていくが、

下り坂道が終わるところで、


「ゴブリンの群れがいるぞ!」


グランツさんが警告してくれる。


いつもの様に緑色のゴブリンが3体いるが、

1匹だけ、麻のローブの様な物をまとい、杖の様なものを持っているゴブリンがいる。


「あれはメイジゴブリンだ。」


まずメイジゴブリンは、杖の様なものを振りかざし、

3体の緑色ゴブリンにこちらに突撃する様、

指示を出す。


そして、ゴブリン3体は、こちらに向け、走ってくる。


「急発進します。おつかまりください。」


ハコブは、インカムで車内にその様にアナウンスし、バスを急加速させる。


そして、3体のゴブリンを跳ね飛ばす。


その後すぐにバスのフロントガラスに爆発が襲い、

砕け散らなかったものの、フロントガラス前面に細かなヒビが入った。


「メイジゴブリンのファイヤーボールだ。」


リリーが叫ぶ。


ハコブは、バスのアクセルを強く踏み込む。


バスはさらに急発進し、避けようとしていたメイジゴブリンを跳ね飛ばす。


バンっと大きな音がした直後、ヒビの入ったフロントガラスに、メイジゴブリンの頭がめり込んでいた。


グランツさんは、そのめり込んだメイジゴブリンの頭に、弓を放つ。


「とどめを刺したんだ。」


ハコブはブレーキをかける。


メイジゴブリンは、大きな音とともに、車体の下を通り、

バスの後方に転がっていった。


リリーとグランツは、討伐確認のため、バスを降り、後方へ走っていった。

乗客からは、拍手喝采だった。


「すげえな、一瞬でメイジゴブリン、倒したんだろ。」


「安全な馬車ね。」


「なんか、前が見づらくなったが、大丈夫か?」


2人がメイジゴブリンを確認に行っている間、

能力でフロントガラスを直した。


ハコブはバスを降り、フロントを確認した。


「後はバンパーのゆがみと、メイジゴブリンの血液がついているが、

これは町についてから対処しよう。」


「おーい、大丈夫だ、メイジゴブリンは確実に仕留めたぞ!」


リリーとグランツさんが、メイジゴブリンの手足を持ち、運びながら、

声をかけてくる。


「どうするんですか?それ。」


「この死体をギルドに見せれば、結構な討伐報酬がもらえるんだよ。

メイジゴブリンは。」


「そうなんですか?」


結局、3人がバスに乗り込んだ後、

討伐したメイジゴブリンを、前ドアに立てかけて、

町まで再び走り出した。


辺りが完全に暗くなってから、バスは町に到着した。


町の中をバスは最徐行で走り、

フラン町の駅馬車乗り場に到着した。


乗客は切符の回収が終わると、

それぞれ町の中に散っていった。


エリスさんが駆け寄ってくる。


「遅くまでご苦労様でした。

リリーさん、グランツさん、ありがとう。」


エリスさんは、2名にそれぞれ、金貨82枚を手渡した。


「エリスさん、こんなに?ありがとう。」


「感謝する、エリス殿。」


ハコブからも、感謝を述べる。


「ありがとう。リリー、グランツさん、助かったよ。」


「なに、冒険者の収入よりも、良い仕事だったよ。」


「それを言ったら、冒険者の仕事がろくでもない仕事と思われるだろ。」


「実際にそうじゃないか。」


2人でそんなやり取りをする。


「ハコブ、これから、このメイジゴブリンを届けて、換金してくる。

換金したお金は明日渡すよ。」


「ああ、ありがとう。」


2人はメイジゴブリンを持ちながら、夜の町に消えていった。


「あの、ハコブさん、この馬車の清掃を私がしますよ。」


バスの全面にメイジゴブリンの血液がついていることを、

エリスさんは気づき、清掃を申し出てくれた。


「すみません、お願いします。」


その後、1時間位で、エリスさんはバスの清掃、

ハコブは能力で、整備と燃料補給を済ませる。


そして、今回は乗客が多く、荷物は無いこと、

マリアンヌさんから預かったお金を渡した。


そして、ハコブは、バスで宿に戻った。


「そういえば、メイジゴブリン、

このバスでギルドまで運んであげればよかったな。」

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