24.溶解スライム
24.溶解スライム
今日のバス運行は非常に順調で、ほとんどモンスターも出ることなく、
峠道を下っていた。
ただ、違う所は、峠を越えると、クレメント側は雨だった。
ハコブは速度を落とし峠道を下っていた。
しばらくすると、街道の真ん中に大きな水たまりがあるのが見え、
バスは極力その水たまりを避けて進もうとしていた。
その時、グランツさんが大声を出した。
「馬車を止めてください!」
その声で、ハコブは馬車を急停車させた。
「バスを後退することはできますか?」
「もちろんできます。」
「では、あの水たまりからできるだけ、離れてください。」
ハコブはバスをバックモニターとサイドミラーを見ながら、
ゆっくりと後退させると、
「何か、あの水たまり、おかしくないか?」
水たまりがゆっくりと近づいてくる。
「あれは溶解スライムなんです。」
ハコブは溶解と聞いて、バックするスピードを少し上げた。
ただ峠道なので、限界がある。
「あのスライム、火に弱いのですが…。
そうだ、誰か火魔法を使える人はいませんか?」
グランツさんは大声で乗客に聞く。
「ブランがいれば…。」
リリーが悔しそうに言う。
「そうだ、あのファイアーアローで何とかならないのか。」
「あの弓は高温だが、燃え広がらない、ダメだ。」
ハコブは少し考えた。
(エンジンオイル?発火温度が高くてダメだな。
溶解、溶解、…一か八か試してみるか。)
ハコブは能力で、アルカリ性のカーシャンプーを出した。
バスを止めて、前ドアを開けて、アルカリシャンプーのキャップを開け、
前方の溶解スライムに投げつける。
溶解スライムの上にシャンプーの液体がこぼれ、
スライムの動きが停まり、暴れ出す。
「効いていますね。」
ハコブは追加のカーシャンプーを出し、
「リリー、グランツさん、私のやったように、蓋をを外し、
前方のスライムに投げてもらえますか?」
「た、試してみましょう。」
2人は、ハコブと同じように、キャップを外し投げる。
シャンプーのアルカリの液体がスライムに飛び散り、
スライムがさらに暴れる。
「こりゃいいや、面白い。」
3人で、アルカリのシャンプーを投げるが、
特にリリーが面白がって投げる。
3人で20本くらい投げた所で、スライムは暴れなくなり、
ただの大きな水たまりの様になった。
念のため、3人は50本くらい、アルカリシャンプーを動かなくなったスライムにかける。
「もう大丈夫かな?」
「これは強力な武器だな。」
リリーが言う。
「この液体はアルカリで、スライムは酸性、つまり中和され、倒せるんじゃないか、と思ったんです。」
2人の頭の中にはクエスチョンマークが出ている様だった。
ハコブはデッキブラシを能力で出し、
目の前の、シャンプーまみれのスライムをかき混ぜる。
「これでいいかな?」
ハコブは2人をバスに乗り込むよう促し、
清掃用の新しい雑巾、もとい、タオルで雨に濡れた体を拭く様、
促した。
その後、ゆっくりとバスを走らせた。
「OK、大丈夫だ。」
乗客からは拍手が上がる。
その後、2匹ぐらい街道に溶解スライムがいたが、
同じ方法で倒し、その日は5時間かけて、クレメント町の駅馬車乗り場にたどり着いた。
リリー曰く、雨の日は、時々、溶解スライムが現れるらしい。
その言葉を聞き、雨の日は、
アルカリシャンプーを常に準備しておこうと、
心の中で思った。




